19.6 C
Tokyo
2024年10月06日日曜日
ホームタグ国際社会

タグ : 国際社会

北朝鮮の新たな偶像化…金正恩の自己崇拝キャンペーン

北朝鮮メディア、金日成の誕生日を指す「太陽節」を削除金正恩、自身の偶像化のためにモザイク壁画を設置政権擁護のために4世継承の本格化に着手した金正恩 最近、北朝鮮は金日成の偶像化を中止し、「太陽」という表現を削除しているが、金正恩国務委員長に対しては使用を継続しており、その取り組みに注目が集まっている。 18日、韓国統一部によると、北朝鮮の現地メディア労働新聞は前日の報道で金正恩国務委員を「主体朝鮮の太陽」と称えた。 以前、現地メディアが取り上げる写真や映像などでは、金委員長を「主体朝鮮の太陽」と称えていたが、主に金日成の誕生日を意味する「太陽節」の表現は最近減ってきており、北朝鮮内の変化に注目が集まっている。 専門家らは、金日成・金正恩など、先祖に対する神格化や偶像の強度を減らしつつ、偶像化の焦点を金正恩委員長自身に合わせようと姿勢が変化していると分析している。 現地メディアは、今年4月15日の金日成の誕生日を迎え「太陽節」という表現を事実上使用せず、「4.15」や「4月の祝日」など、多少和らげた表現を主に使用している。 北朝鮮の至る所に掲げられた祝賀広告・宣伝物からも「太陽節」の言葉は見つからなかった。 労働新聞は、14日付報道で、金日成主席の生家と言われる万景台について従来の「太陽の聖地」から「愛国の聖地」へと表現を変更し、先祖の指導者を消そうとしていると分析される。 さらに、金日成の誕生日当日に、金正恩委員長はもちろん、幹部らも金水山太陽宮殿に参拝していないことも同じ意味を持つと解釈されている。 金委員長は以前、2020年と2022年にも太陽宮殿に足を運んでいないが、幹部らも参拝を中止したのは金正恩政権発足以来、かつて見たことのない風景だ。 金正恩国務委員長による自身の偶像化は、昨年から本格的に始まった。 金委員長のモザイク壁画が首都の平壌に昨年初めて登場した。 これは金委員長が先代の指導者である祖父と父を引き継ぎ同列に立ったことを意味し、偶像化を加速化するものと見られた。 朝鮮中央通信は昨年3月、平壌万景台革命学院に金委員長の大型モザイク壁画が設置され、竣工式が開かれたと報じた。 同竣工式には、李一煥党宣伝書記をはじめ、李熙用党組織指導部第一副部長などのハイクラス幹部と教職員などの学校関係者が出席し、金委員長は偶像化事業により自身の力を誇示する姿勢を見せた。 モザイク壁画は2000年代初、金正日政権当時、宣伝目的で北朝鮮全域に設置され始め、父の金日成先祖指導者と金正日の姿を主に描いたものだが、今では金正恩の壁画が増えている。 2022年10月12日、咸鏡南道の連浦温室農場の竣工式で、金国務委員は「起工式に参加し、鍬入れ」を行う場面を描いた壁画が初めて捉えられ、注目を集めた。 4ヶ月後、朝鮮中央TVの報道を通じて、咸鏡北道に位置する中坪温室農場関連の場面で、金委員長が「一人で農場の植物を見つめる姿」が描かれた壁画も登場し、以前とは違う雰囲気が感じられた。 当時、梁武鎮北朝鮮大学院大学学長は、「北朝鮮の金正恩委員長も政治・経済・軍事など全分野において金日成・金正日の列に昇格したことを示し、先祖指導者と同じ力を持とうとする意図」と評価した。 一方、金正恩は4世継承を続けようと積極的に準備している様子。最近、娘のジュエさんと公式の場に同行するなど、有力な後継者とささやかれている。 北朝鮮は、国連の対北朝鮮制裁により長期にわたり経済的な圧迫を受け、新型コロナウイルス感染症以降、内部で経済難が続いている。 これに対し、北朝鮮の住民が政権にますます不満を募らせ、自身の政権を守るために、金正恩が4世継承を本格化する動きに出たと解釈される。 現地メディアは、今年初、金委員長と娘のジュエさんが温室工場の竣工式に参加したと報じ、「金正恩同志が愛する子とともに竣工式及び稼働式に訪れた」と伝え、「偉大な指導者らが党と政府及び軍部の幹部らとともに江東総合温室に立ち会った」と説明した。 当時、専門家らは「偉大な指導者ら」という表現に注目し、複数を表す「ら」があった点から、ジュエさんにも、金委員長と同じ称号を付けたと見られ、北朝鮮の4世継承の強化姿勢に注目が集まった。

「韓国国籍を取得して離婚することが目的」…韓国人男性と結婚したベトナム人女性の本音

ベトナム人女性が、韓国国籍を取得する目的で韓国人男性と結婚する事例が発生していることが明らかになった。 最近、ベトナムの地元オンラインメディア「VNエクスプレス」は、韓国人男性と結婚したベトナム人女性たちにインタビューを行ない、国際結婚の短所について取り上げた。 20代のベトナム人女性Aさんは、結婚仲介業者を通じて韓国人男性20人のプロフィールと経歴等を確認後、約6ヶ月間に渡る結婚移民の手続きと韓国語の学習を経て、47歳の韓国人男性と結婚した。 幸せな結婚生活を求めていたAさんだが、今では離婚を望んでいると明かした。夫の年齢が妊娠率に影響を与えたことが問題となった。彼女は「病院で、夫の年齢により妊娠に至ることは難しいと言われたが、夫は不当にも私のせいにした」と語った。 また、言語の壁も問題となった。Aさんは「言語の壁によりコミュニケーションが難しく、家の外での活動はスーパーで買い物することが全部だった」といい、「孤独感や故郷に対する恋しさにより、毎晩涙を流していた」と語った。 そのため、Aさんは韓国籍を取得後、韓国で合法的に仕事に就いて生活していける日を待っていると述べた。 彼女は「多くのベトナム人が韓国に不法入国し、厳しい条件の下で労働している姿を目にした。私は、そのようなビザの心配事を避けるために地元民との結婚を選んだ」と述べ、「韓国のパスポートがあれば自由に旅行できるし、私の子供たちにもより良い未来を与えることができる。また、私たちの家族の(韓国への)移住をサポートすることもできる」と話した。 また、別のベトナム国籍の20代女性Bさんは、最初から韓国の国籍取得を目的に結婚したと告白した。 Bさんは2000万ドン(約12万円)を払い、結婚仲介業者を通じて41歳の韓国人男性と結婚した。彼女は「私にとって結婚は、2〜3年以内に(韓国)国籍を得る手段だと思っている。ずっと一緒に生活していくつもりはない。私の目標は、国籍取得試験のための滞在資格を満たすことなのだ」と述べ、「夫への愛情はなく、毎日ストレスを感じている」と明かした。 韓国の法律によれば、女性結婚移民者は韓国男性と2年間の結婚生活を送った場合、韓国国籍の取得を申請することができるという。 当メディアは、2019年に離婚した女性結婚移民者の滞在資格が拡大されたことにより、一部のベトナム人女性たちが韓国人と結婚後、離婚することを目標に困難な生活をも受け入れていると伝えた。 韓国統計庁によれば、昨年の韓国人女性と外国人男性の結婚件数は5000件で7.5%増加したといい、その中でもベトナム人男性との結婚件数は792件で35.2%急増したという。 2022年基準、ベトナム人男性と再婚した韓国人女性556人のうち482人(86.7%)が帰化した韓国人であり、その中で国籍確認が不可能な2人を除いた480人の帰化前の国籍は、全てベトナム人だということが明らかになった。

法学部卒業者の75.6%が弁護士試験に合格…合格率の大幅上昇

第13回弁護士試験の結果が発表法学専門大学院卒業者の合格率は75.6%階級間移動を断ち切ったとの批判も 韓国の2024年度第13回弁護士試験の合格者は、全部で1,745人に決まった。 法務部は、先日16日、弁護士試験管理委員会の審査結果と最高裁判所・法学専門大学院協議会など、関係組織の意見を取りまとめた結果を発表した。 合格率は、受験者数3,290人に対し53%で、昨年の1,725人より20人増となった。 その中で、今年の法学専門大学院(ロースクール)修士号取得者(13期卒業者)の合格率はなんと75.6%に上った。 法学専門大学院出身者の合格率が50%を超えたことを受け、弁護士試験合格者に占める同大学院出身者の割合が高すぎとの指摘もある。 同大学院は、法律家の養成を目的とした3年コースの教育機関で、2009年に韓国に導入された。 法律家という専門家を志望する若者が増え、同大学院の人気は、導入当初からに高かった。今年の入学試験では、過去3番目の高い倍率を記録した。 法学専門大学院協議会によると、募集定員2,000人に対し、応募者11,133人となり、全国25の法学専門大学院で、平均5.57対1の倍率を記録したという。 しかし、課題は、法学専門大学院を導入して以来、特定大学出身の合格者が増え、入学者選抜の公正が損なわれたと疑われる点だ。 昨年の調査結果によると、全国の法学専門大学院入学者の出身大学は、高麗大学が428人(19.85%)と、トップとなった。 次いで、ソウル大学399人(18.51%)、延世大学328人(15.21%)の順となり、ソウル大学・高麗大学・延世大学、いわゆる「SKY大学」卒業者が上位を占める結果となった。 従来の古き学歴社会を打開し、多種多様な背景を持つ学生を選抜するという法学専門大学院の導入効果を得られていないとの批判が出ている。その中で、法学専門大学院出身者が弁護士試験合格者の中でも大多数を占めているのだ。 さらに、法学専門大学院の学費が高額なため、入学者の中には、世帯年収が高い家庭出身の学生が多いと言われている。低所得者にとって、法律家になるためにハードルが更に高まったわけだ。 このことから、階級間移動を断ち切っているとして、批判が続出している。一部では、司法試験の復活を訴える主張もあるが、導入方向性も明確なものだった。 2009年に法学専門大学院第1期が開始して以来、毎年法律家が増え続け、韓国の法律市場が拡大傾向にあった。2014年に2万人を超え、2019年には3万人を突破した。 それに伴い、通常、なかなか法律家から専門的助言を得られなかった一般市民にも、法律相談の機会が広がった。一部の法律事務所は、交通の便の良い都心に事務所を構え、ポータルサイトなどのオンライン広告も積極的に出し始めた。また、裁判所から遠い地方都市などで開業する弁護士も増えている。 一方、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、「庶民向け法学専門大学院の導入」をマニフェストに掲げている。 尹大統領は「司法試験の復活よりも、特別選考や奨学金制度など、法学専門大学院の入学機会を広げることが有効」との立場だ。 現在、政府は法学専門大学院に在籍する学生・新入生の中で基本生活保護対象者や所得1∼3区分に該当する低所得層の学生を対象に授業料全額を援助している。 昨年5月には、夜間制の法学専門大学院導入に向け、政策研究を依頼したことも明らかになった。

北朝鮮の空軍訓練を意識…米韓合同空中訓練を実施

米韓が合同空中訓練を実施北朝鮮の航空陸戦兵部隊を意識「北朝鮮、空中戦に自身ないはず」 韓国特殊戦司令部は、18日、京畿道(キョンギ道)烏山(オサン)飛行場において、在韓米軍特殊戦司令部と共に、米韓合同空中訓練を行ったことを明らかにした。同訓練は、北朝鮮が先月に行った空挺(くうてい)部隊の訓練中に多数の死傷者が出たことを意識したためと見られる。 19日、韓国軍当局者の発表によると、陸軍特殊戦司令部は、18日、烏山飛行場において、在韓米軍特殊戦司令部(SOCKOR)と共に大規模な合同空中訓練を行ったと発表した。 同訓練に参加した在韓米軍特殊戦司令部は、米韓連合司令部・在韓米軍(USFK)・国連軍司令部を支援する特殊作戦部隊として、韓国特殊戦司令部と定期的な合同訓練・戦術立案などにより、両国における特殊作戦部隊の機動力と攻撃能力を高めることに貢献している。 今回の米韓合同空中訓練は、両国共同の航空資産を活用し、空中にいる敵の攻撃を行うことで、敵基地攻撃能力と相互運用性の向上を図ることにその目的があると見られる。 同訓練では、特殊戦司令部「黄金コウモリ部隊」や「オンヌリ部隊」、在韓米軍特殊戦司令部の兵士らがC-17・C-130J・C-130H・CN-235輸送機を運用し、対象地域に速やかに浸透し、敵を撃退するという実戦に近い環境下で行われた。 軍当局者は、降下前の地上訓練や安定性評価、降下前後の空軍基地の運航制御、気象データの即時確認、電波体制の構築、安全要員の配置などにより、人的・物的被害がなく、訓練を無事終了したと述べ、これは、先日、行われた北朝鮮の空挺部隊の訓練中に死傷者が出たことを意識した発言と見られる。 米韓合同空中訓練に参加した特殊戦司令部のパク・ワンホ大隊長(中佐)は、「実戦に近い形での合同空中訓練により、米韓特殊戦司令部の機動力と攻撃能力を高めることができた」と述べ、「今後も米韓特殊戦司令部は、より高いレベルで訓練を積み重ね「即時に強く最後まで」対戦体制を整えていきたい」と加えた。 また、在韓米軍特殊戦司令部のジェームズ・ジョンソン空軍特殊作戦連絡将校(中佐)は、「今回の訓練で、米韓同盟の固い意志を再確認し、チーム一丸となって戦えば必ず勝てるFight Tonight(ファイト・トゥナイト)体制を構築することができた」と述べた。 同訓練は、北朝鮮を意識したものと見られ、空中戦での南北の優位性について国民の関心が集まっている。 休戦後、南北は、空中戦で戦った経験がなく、優位性を判断することは難しいが、脱北者の話によると、未だ韓国が優位にあるという。 脱北者出身の太永浩(テ・ヨンホ)「国民の力」議員は、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを発射し、挑発を続ける行為について「空中戦に自信のない金正恩(キム・ジョンウン)が卑怯にも北朝鮮側から大陸間弾道ミサイルを打ち上げた」と述べ、波紋を呼んだ。 この発言は、北朝鮮が空中戦に自信がないため、大陸間弾道ミサイルの射程を空中戦が勃発しない程度まで抑えたことを意味する。北朝鮮は、まるで同氏の発言を裏付けるかのように、昨年、核無人水中攻撃艇「ヘイル(津波)」の実験を実施した。 通常、空中戦で運用する戦闘機、無人戦闘機(ドローン)、ミサイルなどの場合、韓国の兵器技術が北朝鮮より進んでいるため、韓国より劣勢である北朝鮮は、核兵器開発に力を注いでいる。 昨年、実験を実施した核無人水中攻撃艇「ヘイル」は、ロシアの最新型核魚雷「ポセイドン」を疑似したものと見られる。「ヘイル」は、核弾頭を搭載し、水中爆発で超強力な放射能の津波を引き起こすことができる。また、戦略巡航ミサイル「ファサル(矢)」も同様の性能を持っていると見られる。 北朝鮮には、韓国側が構築したキルチェーンと米韓合同訓練を無力化する目的で、自国の核戦力を誇示する意図があったものと判断される。 一方、先月15日に死傷者が出た空挺(くうてい)部隊の訓練には、金正恩国務委員長と娘のジュエさんが立ち会ったと伝えられた。 同日、行われた空挺部隊の訓練は、強風が吹く悪天候にもかかわらず、訓練を強行したことから、死傷者が出たと推測される。パラシュートが開かずに部隊員同士のパラシュートの紐が絡まり、若手兵士ら数十人が死傷した。

少額のチップまで当局に奪われ…賃金未払いと長期間労働で帰国もかなわず北朝鮮労働者がストライキ

中国やアフリカで北朝鮮労働者がストライキを実施 原因は賃金未払いや長期にわたる帰国不許可 わずかなチップまで当局に剥奪される始末… 朝日新聞によると、賃金未払いや長期にわたる帰国不許可などの理由で中国に派遣されている北朝鮮労働者たちがストライキを起こし、北朝鮮の外貨獲得に計画のずれが生じているという。 今月14日、朝日新聞は、3月中旬以降、中国の遼寧省丹東市のある工場で北朝鮮労働者たちが数日間ストライキを行ったと報じた。また、北朝鮮と中国を往来する貿易商によると、1月に吉林省延辺朝鮮族自治州で、2月には丹東市の工場でストライキが発生したとのことだ。 北朝鮮の重要な外貨獲得ルートとされる海外派遣労働者たちの労働によって得た外貨は、核やミサイル兵器開発の資金に使われていることが確認されている。核兵器開発の資金として労働者たちが得た外貨が使われていることが明確なため、国際連合は2017年より自国で働く北朝鮮労働者を退去させるよう、加盟国に義務付ける通知を行ってきた。そのような中、中国には就職ではなく研修という名目で入国した労働者たちが多く存在する。 中国側も北朝鮮労働者は現地人材よりも低賃金で雇用できるため、黙認している状態だ。中国で違法に就職した北朝鮮労働者たちは厳しい監視の下、職場と住居の往復だけの集団生活を送り、外貨獲得に利用されている。 朝日新聞の報道では、「北朝鮮で生まれ育った労働者たちは、このような環境の中でも真面目に働き、(北朝鮮当局の)管理にも従順に従っていた」とし、「(関係者の証言通り)ストライキが実際にあったなら驚くべき事態だ」と説明している。 今回、北朝鮮労働者たちがストライキを起こすまで激怒した原因は、賃金未払いと長期化した派遣期間だと推測されている。労働場所により差はあるものの、北朝鮮労働者たちの月給は約2,500元(約5万3千円)である。 彼らは月給の大部分を北朝鮮の派遣元企業や当局に奪われ、実際に労働者が手にする金額は600~700元(約1万3千円から1万5千円)とされている。この金額すら北朝鮮に帰国してからでないと受け取れないというから、衝撃的だ。 1月に吉林省延辺朝鮮族自治州で発生したストライキも、帰国したとしても、数ヶ月間働いて稼いだ少額の給与ですら受け取れないという事実が明らかになったことで発生したと推測されている。このようなストライキの影響が他の工場にも広がり、中国各地で北朝鮮労働者たちのストライキが発生した。これに対して、北朝鮮関係者は「賃金未払いが発生したのは中国企業のせいだ」という立場を示している。 さらに深刻なのは、北朝鮮が労働者たちのチップまで奪っているということだ。中国内にある北朝鮮レストランの従業員たちは、客から受け取った現金のチップなどを北朝鮮当局に全額納めるように教育を受けているという。 中国の丹東市にある北朝鮮レストラン、「柳京食堂」、「平壌館」、「平壌特産物食堂」などで働く20代の女性従業員たちは、食事を運んだり歌を歌ったりしてチップを得ているが、このチップまでが外貨獲得の手段として北朝鮮に利用されている。 国際放送局「自由アジア放送(RFA)」などは、「今月から丹東にある平壌館の従業員たちは、客からもらったチップを1円も使ってはならなくなった」と北朝鮮情報通から共有を受けた。さらに、今月初めには「平壌館」で働く従業員たちを対象に夜間の特別研修まで行われたと報じられた。この研修で北朝鮮関係者は従業員たちに、客から受け取ったチップは全額当局に納めるよう強調したとされている。 北朝鮮がこのような措置を実施したのは、北朝鮮が計画上課している外貨獲得量を増加させたためだと推測される。当初は女性従業員たちの場合、食事を運んだり歌を歌ったりして客からもらったチップの一部を当局に収め、一部を生活費に使っていた。 例えば、500元(約1万円)のチップを客から受け取ったとすれば、そのうち400元(約8,500円)を北朝鮮当局に納め、100元(約1,500円)を生活費に使っていた。これまでも、大半のチップを奪われてきたが、生活費に使われていたわずかなお金まで奪っていく北朝鮮の現実に、従業員たちも怒りを感じているものとみられる。中国内の北朝鮮レストランには防犯カメラがあらゆる場所に設置されており、受け取ったチップを隠すことも難しい状況だ。 また、もう一つトライキの主因として指摘されたのが、長期間労働だ。丹東市で発生したストライキで北朝鮮労働者たちが要求したのは早期帰国だった。新型コロナウイルス感染症の影響で、北朝鮮は3年7ヶ月間ものあいだ国境を封鎖し、北朝鮮労働者たちはその間、自国にいる家族に会うことができなかった。 新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、昨年から限定的に国境の一部を開放し始めたが、通常3年程度の労働期間が無期限に延長されているため、たまりにたまった不満を抑えるのが難しかったと推測されている。 一方、北朝鮮労働者たちのストライキは、中国国内だけで発生している問題ではない。RFAの報道によると、今年3月にアフリカのコンゴ共和国の建設現場で帰国スケジュールの遅延が発生するや、北朝鮮労働者数十人が集団デモを行ったという。 本件に関連しては北朝鮮当局がアフリカの汚職政治家たちと手を組んで陰で外貨を獲得していたことも確認されている。これは、国連安全保障理事会が2016年に採択した北朝鮮制裁決議2321号32「北朝鮮との貿易のための公的な及び民間の金融支援(そのような貿易に関係する自国の国民又は団体に対する輸出信用、保証又は保険の供与を行うことを含む。)を禁止すること」への違反行為だ。 現在、北朝鮮が外貨獲得計画の規模を大幅に拡大し、軍事兵器・技術などの開発に集中して外貨を費やしていることから、北朝鮮の今後の動向に注目が集まっている。 写真=ニュース1、AP通信、YouTubeキャプチャ

イスラエルの対イラン報復攻撃により中東地域の緊張高まる…連休の海外旅行にも影響生じるか

イスラエルの対イラン報復攻撃により中東地域の緊張高まる イスラエルのイランに対するミサイル攻撃により報復攻撃が本格的に開始されたのか、世界中で緊張が高まる中、連休を控え海外旅行を検討している人たちも悲鳴をあげている。 「ABC News」などの海外メディアは19日朝、イスラエルがイラン国内のある施設をミサイルで攻撃したと報じた。メディアはアメリカ当局の話として、「イスラエルが18日に24時間から48時間以内にイランへの報復攻撃を予定していると通告してきたが、実際にイスラエルがイランのある軍施設に対して報復攻撃を行った。シリアやイラクなども攻撃を受けたかどうかは確認できていない」と報道した。 イスラエルとイランは、13日から14日にかけて行われたイランのイスラエルに対する大規模攻撃により、開戦の機運につつまれていた。報復を宣言していたイスラエルは約6日後の19日に報復攻撃に出た。 過去、イランはイスラエルが自国の核開発施設を攻撃した場合、イスラエルの核開発施設を最先端兵器で攻撃する予定にあるなど、大規模な報復を警告していた。この日、イスラエルの攻撃直後には、X(旧Twitter)などのSNSにイランの主要空軍基地と核開発関連施設があるイラン中部のイスファハンが爆撃される映像が投稿された。 このようにイスラエルとイランとの間で開戦の危機が高まる中、世界経済はもちろん、韓国国内にも影響を及ぼしている。この日、イスラエルの報復攻撃に関する報道直後、ウォン-米ドルの為替レートは18ウォン以上急落し、1ドル1,390ウォン(約156円)で取引された。 韓国では5月の連休と夏季休暇を控えて海外旅行を予定している旅行者も多く、まさに思いがけないニュースだ。米ドルを使用する多くの国々だけでなく、韓国内の旅行者に人気が高い東南アジアの場合も、米ドルを現地で現地通貨に両替するケースが多いためだ。 韓国では5月の連休と夏季休暇を控えて海外旅行を予定している旅行者も多く、まさに思いがけないニュースだ。米ドルを使用する多くの国々だけでなく、韓国内の旅行者に人気が高い東南アジアの場合も、米ドルを現地で現地通貨に両替するケースが多いためだ。 このような突然のドル高ウォン安により海外旅行での費用負担が増えると予想される中、キャンセルを検討する旅行者も増えるとみられている。 5月1日の勤労者の日(*)や5月6日の子供の日の振替休日、5月15日の釈迦誕生日など、韓国でも5月は連休が多くゴールデンウィークと呼ばれており、ドル高ウォン安が進行する中、銀行業界は旅行客向けに手数料割引や旅行費用支援などの特典を次々と打ち出している。 (*法的には記念日扱いであるが、韓国国内の大半の企業などが休日を導入している) 一方、イスラエルはイランへの報復攻撃に先立ち、アメリカに関連内容を通告したが、アメリカはこの空爆には介入していないとみられている。 ジョー・バイデン大統領はイスラエルのイラン報復攻撃に関し、13日夜、イスラエルのネタニヤフ首相との電話会談で「イラン側の攻撃のほとんどが失敗に終わったことから、今回のイランからの攻撃についてはイスラエル側の勝利とみなすべきだ。アメリカはイランに対するいかなる攻撃行動にも参加しない」との立場を明らかにしたと伝えられている。

生物・化学兵器の製造も使用も可能?北朝鮮の開発力向上に「生物化学戦争」のリスク

別名「貧者の核兵器」生物・化学兵器アメリカ政府「北朝鮮はすでに製造技術保有」最悪の場合ソウルで20万人以上の死傷者予想 アメリカ政府は、北朝鮮が戦争時の生物・化学兵器攻撃のために、遺伝子操作に関する技術、ノウハウを継続的に蓄積していると明らかにした。 これは、アメリカ国務省が毎年発行する報告書に登場する評価で、アメリカ国防総省が昨年9月28日に発表した「2023大量破壊兵器対応戦略」に続き、北朝鮮の生物・化学兵器の製造可能性に2度目の言及をしたため、衝撃を与えている。 北朝鮮が遺伝子操作でワクチンや解毒剤がない病原体を散布し、「生物化学戦争」を引き起こす可能性が提起され、注目を集めている。 現地時間15日、アメリカ国務省が「2024軍備統制・不拡散・軍縮合意履行報告書」を公開した。報告書によると、アメリカは北朝鮮が生物・化学兵器として使用可能なバクテリア・ウイルス・毒素の生産技術を保有していると推定している。北朝鮮の国家科学院などが有機体のDNAを操作し、挿入するなどのCRISPR-Cas9システム、いわゆるゲノム編集ツールも兼備しているとみている。 アメリカ国務省が昨年公開した報告書では、「北朝鮮が生物・化学兵器と関連したゲノム編集について限定的な能力があり、バクテリアなどを生産する技術を保有しているかもしれない」と評価していたのとは異なり、今回の報告書では「北朝鮮がゲノム編集能力を兼備している」と確信を持って評価している。アメリカが断定的な評価をした理由は、北朝鮮の生物・化学兵器関連技術の水準が大きく向上したことを示唆している。 アメリカ国務省は毎年報告書を発表しているが、自国の情報機関、統合參謀本部と協力し、北朝鮮、イラン、ロシアなどの核開発や生物・化学兵器に関する開発状況をモニタリングし、鋭意注視していると伝えられている。今回公開された報告書には、昨年と同様に「北朝鮮が生物・化学兵器をスプレーや注射器などを通じて使用可能だ」という内容が含まれていることを確認した。 アメリカはかなり前から、北朝鮮が無人機を利用した毒ガスの空中散布、漢江(ハンガン)の水流を利用した毒性物質の水中散布など、武器を利用した直接的な攻撃ではなく、生物・化学兵器攻撃を試みる可能性があると予見していた。その中でも、特に有機体の特性を人工的に操作し、解毒剤やワクチンのないバクテリアの散布といった見当をつけるのが難しい作戦になっているのが問題となっている。 国際社会は、このような理由により多くの国際協定を結び、(生物・化学兵器の)使用を防いでいるが、北朝鮮が核兵器だけでなく、生物・化学兵器の開発を継続する可能性は高いとみられている。 正確に定義すると、感染性のある病原体を利用する生物兵器と、微生物や毒素を使用する化学兵器はそれぞれ異なる特性を持っている。しかし、アメリカ国務省が報告書の根拠としている1975年に発効した国際連合(UN)の「生物兵器禁止条約(BWC)」によれば、生物兵器と化学兵器をともに禁止しており、モニタリングも両方を対象としている。 北朝鮮が継続的に開発していると推定される生物兵器は、細菌の場合は炭疽菌・コレラ菌、ウイルスは日本脳炎・エボラウイルス・天然痘、毒素はボツリヌス菌や猛毒の神経剤VXなどと推定されている。 その中でもVXは、北朝鮮が金正恩国務委員長の異母兄、金正男をマレーシアのクアラルンプール国際空港で暗殺する際に使用した毒物で、触れただけで神経に作用する猛毒である。 そのため、アメリカのシンクタンク「RAND Corporation」と韓国のシンクタンク「峨山(アサン)政策研究所」は、2022年に北朝鮮の生物・化学兵器に関して分析した共同報告書で「北朝鮮の特殊部隊がエアゾールスプレーを使用して毒ガスであるサリンを(韓国の)首都圏に散布する可能性がある」と懸念を示している。 北朝鮮の生物・化学兵器は、これにとどまることなく、炭疽菌・ボツリヌス菌・流行性出血熱・ペストなど、10種類余りの生物兵器を保有中だと予想されている。この中には、ゲノム編集によって開発された新たな病原体は含まれておらず、実際に北朝鮮が保有している生物・化学兵器はそれ以上だと見られている。 韓国国務部が発表した報告書によると、北朝鮮の生物・化学兵器の保有量は最低2,500tから5,000t以上と推定され、これを野砲や弾道ミサイル、無人航空機、特殊作戦部隊などを利用して散布する可能性を含んでいる。 一方、北朝鮮が炭疽菌10㎏を真昼のソウル上空で爆発させた場合、最大22万人の死傷者が出る可能性があると予想され、これは12.5kt相当の空中爆発核兵器を使用した場合に推定される死傷者12万5,000人よりも大規模な被害になるとみられている。また、北朝鮮がサリン2tをソウルのような人口密集地域に散布した場合には、影響範囲は7.8㎦、死傷者は約25万人に達すると分析した報告書が昨年発表された。 昨年、統一研究院のパク・ウンジュ副研究員が発表した「東アジアの多重的な安保危機の中で北朝鮮の非対称戦力増強が持つ意味」によると、北朝鮮が生物・化学兵器に力を注いでいる理由は効率性にあるとされている。別名「貧者の核兵器」と呼ばれている生物・化学兵器は技術的に製造が容易で、少ない費用で莫大な数の人命を奪うことができるといわれている。 この報告書では、北朝鮮は全国計17ヵ所で生物・化学兵器の研究および培養・生産施設を運営しており、炭疽菌、天然痘、ペスト、コレラ、ボツリヌス菌など5種のウイルス兵器化に成功したとみなしている。 韓国は現在、北朝鮮の生物・化学兵器の使用可能性に対応するため、化学兵器禁止機構(OPCW)とともにに訓練を行い、軍の初動対応、状況管理、分析と検証など全般的な対応手順を制度化しているところだ。

今年度初、通算5回目、福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出開始

今年度は7回に分けて約5万4,600トンを放出予定 東京電力が福島第一原子力発電所の処理水の5回目の海洋放出を19日に開始したと共同通信が報じた。 放出は来月7日まで行われ、放出量は前回と同じ7,800トンだ。 東京電力はALPS(多核種除去設備)処理水の放出に先立ち、事前に放出する水を分析し、基準を満たしていることが確認されたと発表している。 先んじて、東京電力は昨年8月に初の海洋放出を開始し、2023年度は4回にわたり、合計で3万1,145トンの処理水を放出した。 2024年度(2024年4月∼2025年3月)は7回にわたり、約5万4,600トンの処理水を放出する予定だ。 この期間に放出される処理水に含まれるトリチウムの総量は年間上限値(22兆ベクレル)を下回る14兆ベクレルになる。

「AIで仕事がなくなった」…AIと自動化が IT の仕事に及ぼす影響

AIの進化によりIT職の需要減少 平均給与は減少傾向 「採用の必要性が低下」 世界でAI(人工知能)ブームが巻き起こっている中、AI人材をを巡る争奪戦が過熱している。しかし、AIに関わる仕事以外、IT(情報技術)専門職の採用は減少していることが分かり、注目を集めている。 5日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)は、米国企業がAI専門家の採用を増やし、AI人材にプレミアムとして別途給与を支給していると報じた。 ウォール・ストリート・ジャーナルが引用したメリーランド大学の研究によると、今年初めから現在までのAI関連の新規求人は、昨年末に比べ42%増加したが、IT業界の新規求人は同期間に31%減少したとのことだ。衝撃的な報告だ。 これは、22年末にリリースされたOpenAI社のChatGPTによる影響と見られる。Chat GPTの開発が引き起こしたAIブームにより、様々な業界でAI人材の需要が増してきた結果と考えられる。 AI関連の仕事や職種について研究を行ったメリーランド大学ロバートH.スミス経営大学院客員教授は、「マシンラーニングエンジニアやデータサイエンティストなどのAI関連の職種は、Chat GPTのリリース前から存在していたが、Chat GPTがAI技術にユーザーインターフェース(UI)を適用することにより、企業は製品や作業プロセスにAIを組み込む方法に注目し始めた」と説明した。 米国の求人プラットフォームIndeedでも、AI関連職の求人広告が過去6ヶ月間15.7%増加した一方、データアナリストやデータサイエンティストの求人広告は約30%減少したことが分かった。 海外だけでなく、韓国でも大手企業のAI人材の需要が増え、IT関連職の需要は減っているという。 ソウルのある大学のコンピューター工学部を卒業した学生は、「開発者の需要が急増した時期は過ぎたし、研究開発職の採用が明らかに減少している。積極的に新卒採用を行っていた企業も、中途採用のみ行ったり、まったく採用しなかったりしている状況だ」と述べた。 さらに、「今やAIが人間より迅速で、正確にウェブサイトを作成できる。韓国はまだそうではないが、既に海外では米でAIの活用を理由にした解雇が続いている」と述べ、IT業界が直面する未来について説明した。 最近、AIブームにより、AI関連職種の従業員の不安が高まっている。その理由は、あまり高度ではない開発者の業務はAIに任せられる可能性が高いからだ。 韓国の求人プラットフォーム「Saramin」が1月に公開した「2022年比での2023年の職種別求人の増減分析レポート」によると、IT開発・データ分析関連の職種の需要は7.4%減少したとのことだ。IT開発・データ分析関連の職種は昨年の「採用市場の供給と需要の現状調査」で41.8%の割合で最も人材が不足している職種に挙げられたが、わずか1年で減少傾向に転じた。 一時期、韓国でIT職種を最も多く採用していたとされる「カカオ」も例外ではない。「カカオ」は2020年の上半期と下半期に分けて採用人数3桁の新卒採用を行っていたが、昨年下半期には採用人数2桁の採用型インターンシップのみ行ったという。 多くのIT人材が必要とされている「toss」運営会社「Viva Republica」も、2021年に6つの子会社でIT人材を340人から1,000人に増やしたが、昨年は開発者の新卒採用プログラムで採用人数を約50人に大幅縮小させた。 また、「NAVER」は現在IT関連職の採用を行っているが、採用予定人数は公表せず、採用に消極的な態度を示していることが確認された。 企業がこのような行動をとる理由は、コロナ禍以降、IT業界全体の景気は低迷し、AIが大きく発展してきたため、以前のように人材を大量採用する必要性が低下してきたからだ。 業界専門家は、現在企業は業界の不況とIT人材の飽和状態に直面し、新卒より経験者を採用しようとしていると説明した。これは、IT関連職が高い年収を得ながら働いていることが知られ、多くの人がIT業界に転職したためだと思われる。そんな中、経験者は給与や経験年数を下げてまで求職している状況である。 情報通信事業を主力としてきた大手企業の場合、AI事業分野を優先し、数ヶ月間にリストラを行い、新たなAI人材を採用するなどの歩みを見せている。 しかし、IT関連職の需要が完全になくなったわけではない。最近、銀行業界や保険業界は、IT人材を確保するために熱心に求人募集を行っている。これは、オフライン(実店舗)を訪れる既存の顧客の減少により、マイデータ(信用情報管理業)、単元未満株取引、フィンテック、投資、医療健康サービスなどが非対面で行われ、変化していく流れに歩調を合わせるためだとみられる。 都市銀行業界の場合、IT人材の需要がさらに増えていることが確認された。これは、銀行業界で絶えず発生している横領・背任などを防ぐための内部管理プログラムの開発が必要とされているからだ。 写真:ニュース1、シャッターストック、NAVER

依存度95%…国連制裁の影響もあり北朝鮮の対中累計貿易赤字額が200億ドルを超える

北朝鮮の対中累計貿易赤字額が200億ドルを超える 北朝鮮の貿易取引の95%を中国が占める深刻な依存度 国連による北朝鮮制裁で経済成長自体が停滞 北朝鮮は中国との取引において毎年大幅な貿易赤字を記録している。 アメリカの国営放送「VOA(Voice of America)」は、中国税関および韓国貿易協会、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が保有する北朝鮮ー中国間の貿易収支に関するデータを分析した結果、1994年から昨年までの30年間の北朝鮮の累計貿易赤字額は222億7,210万ドル(約34兆円)と集計された。 貿易収支とは、両国の輸出額と輸入額を比較し、輸出額が多い場合は「黒字」、輸入額が多い場合は「赤字」となる。データによると、北朝鮮は過去30年間、中国との取引で単年での貿易黒字すら一度も記録していない。 具体的に、1994年に2億2,530万ドル(約340億円)の赤字を記録して以降、年間2億ドル(約300億円)から7億ドル(約1,070億円)の赤字を維持してきたが、2008年に初めて10億ドル(約1兆500億円)の大台を超える赤字を記録した。 特に2017年以降、赤字額は急増した。 2017年に16億7,736万ドル(約2兆5,800億円)を記録したのち、2018年には20億ドル(約3兆円)、2019年には23億ドル(約3兆5000億円)へと増加した。これは、この期間に国際連合(UN)による北朝鮮制裁が施行され、北朝鮮の主要輸出品目である石炭や衣類などにも禁止措置が施された結果だと分析されている。 しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより両国間の貿易自体が大幅に減少し始めた2020年から2022年までのあいだ、北朝鮮の赤字額は再び10億ドル(約1兆500億円)以下に減り、減少傾向を示したが、昨年から両国間の貿易が再開し始め、赤字額が再び大幅に増加した。 2023年には、北朝鮮が過去3番目の規模の赤字額である17億3,784万ドル(約2兆6,800億円)の赤字を記録した。 中国に依存しながら1994年から30年間貿易赤字を記録してきた北朝鮮とは対照的に、韓国は中国との貿易において毎年黒字を記録している。 中国税関のデータによれば、1990年代半ばから2023年まで、韓国は毎年、中国との貿易で数百億ドル台の黒字を記録してきた。韓国が中国との取引により計上した貿易黒字の総額は1兆ドル(約150兆円)を超えるとされている。 しかし、韓国関税側の資料によると、韓国は昨年初めて対中国取引で貿易赤字を記録したと発表した。中国税関が発表した120億ドル(約1兆8,500億円)の黒字とは異なる結果で、VOAはより正確な分析結果をもって、両国の記録の差が一部の輸出入品目と各地域の貿易をどのように記録するかにより変わるものだと判断した。 北朝鮮経済の専門家として知られるアメリカ・メリーランド大学のウィリアム・ブラウン教授は、9日にVOAとのインタビューで、赤字か黒字かにかかわらず、韓国ー中国間の貿易は北朝鮮ー中国間の貿易と比較できないほど巨大な規模だと説明した。 ブラウン教授は「韓国が1週間に中国と取引する貿易額は、北朝鮮と中国の1年間の貿易額よりも多い」とし、「輸出額を輸入に対する支払い手段と定義すると、韓国はアメリカや他の国との間で達成した莫大な貿易黒字が存在するため、赤字が発生したとしてもそこまで大きな問題にはならない」と主張した。 一方で、「北朝鮮は中国以外の国とはほとんど取引をしていないため、中国との赤字はそのまま対グローバルでの赤字とみなしてよいだろう」と指摘した。実際、北朝鮮の中国への貿易依存度は毎年95%を超える数値を示している。 反対に、韓国ー中国間の貿易額は韓国のグローバル貿易全体の20%程度である。昨年の韓国の対中貿易総額は3,100億ドル(約47兆8,000億円)で、同期間の北朝鮮ー中国間の貿易総額、22億9,000万ドル(約3,500億円)の140倍相当に達するにもかかわらずだ。 ブラウン教授は、北朝鮮が他の正常な国のように輸出入取引を通じた国家運営ができないことを指摘し、「現在の北朝鮮は完全な主体性を追求していると主張しているが、実際には中国への依存度が高く、そうではない」と指摘した。 一方、一部では北朝鮮の経済が成長しているといわれてもいるが、以前の成長水準に戻ることはできないと主張している。ブラウン教授は「現在の北朝鮮の経済状況を見ると、昨年より確実に良くなったが、この状況を2017年と比較すると、そのレベルまでは回復しておらず、制裁問題も相当な影響を与えているため、再びもとのように戻る可能性はほとんどないだろう」と述べた。 写真=ニュース1(韓国)、 朝鮮中央テレビ(北朝鮮)、 労働新聞(北朝鮮)、Shutterstock

北朝鮮労働者が加工した水産物が我が家の食卓に?国連安保理の制裁も機能せず

I 北朝鮮労働者が加工した中国産水産物が韓国で大量に供給されている現実 I 消費者は知らず知らずのうちに北朝鮮に「投資」 I 暴力や性的暴行など北朝鮮労働者に対する人権侵害も問題に 7日、アメリカのワシントンDCに所在する非営利ジャーナリスト団体「The Outlaw Ocean Project」は、中国企業の貿易データや輸出入コード、梱包などの内容を分析した結果、北朝鮮労働者を雇用していることが確認されている中国の水産物加工会社6社の内、少なくとも3社が2020年から2022年までの間に約420トンに達する量を韓国に輸出したと集計した。 このように生産された水産物はすべて、北朝鮮と地理的に近い中国の大連港から出発し、釜山港に入港した後、全国各地に流通されているという。「The Outlaw Ocean Project」は、3社で働く北朝鮮労働者が少なくとも400人以上存在すると明らかにした。 これは、北朝鮮の人々が労働の代価として得た外貨が核兵器や弾道ミサイルの開発に使用されないよう、国連安全保障理事会ですすめられた、他国での北朝鮮労働者雇用を禁止する北朝鮮制裁に違反する行為に該当する。 このように北朝鮮の人々の手で加工された中国産の水産物は韓国のスーパーなどで流通しており、韓国の消費者たちは自身を敵対視し挑発する北朝鮮の金正恩政権の資金を知らず知らずのうちに支援しているかもしれないのだ。 さらに、「The Outlaw Ocean Project」は、最近中国の水産物加工の中心地として知られる遼寧省丹東市東港にあるいくつかの工場を直接訪問し、北朝鮮の労働者20人ほどにインタビューした結果、水産物を含むいくつかの業種のうち、少なくとも15社の中国企業が1,000人以上の北朝鮮労働者を雇用している事実を把握した。 専門家たちは、北朝鮮労働者たちが中国の資本によって生産した製品が韓国に輸出されて、供給される流通経路の構造が非営利団体により具体的な数値で把握されたのは初めてだと強調した。 「The Outlaw Ocean Project」は、「私たちが確認した420トンは、中国企業が韓国へ輸出している全体量のごく一部に過ぎない」と説明した。団体の取材結果、中国の水産物会社は、北朝鮮の労働者が直接加工したアサリやイカ、タラ、タニシなど様々な製品を輸出していることが確認されている。 北朝鮮労働者によって製造された中国産水産物は、業界大手のスーパーだけでなく、オンラインストアなどでも広範囲に流通しており、関係者を驚かせた。 北朝鮮の労働者が加工した製品を販売する丹東に所在するある企業は、韓国に輸出したアサリ製品が、あるスーパーのホームページで5点満点中4.8点と非常に高い評価を得たとアピールしている。3,000件を超えるレビューの中でも特に多いのが「殻が取り除かれていて、すぐに身だけを食べることができるので便利だ」というもので、これは北朝鮮の労働者が殻を取り除いた結果だ。 他の丹東の水産物販売業者から貝類や魚など様々な海産物を輸入している韓国のある輸入業者は、自社のホームページに韓国の大型スーパーの直販コーナーで大変な人気を集めていると掲載し、マーケティングを行っている。 また、年間1万トン以上のイカを加工する業者は、イカを利用した各種加工品を韓国に長期にわたり輸出していることが確認された。 中国産の水産物は、韓国当局の合法的な手続きを経て輸入されているため、生産地を確認するだけでは流通業者や消費者が北朝鮮労働者の強制労働によって生産された製品であることを確認するのは容易ではない。 さらに、韓国は北朝鮮の労働により製造された物品の輸入を禁止する個別の法律が制定されていない。そのため、国連安全保障理事会が行う北朝鮮制裁に基づく個別の判断をもとに制限を課す方式で管理している。 専門家たちは、国連安全保障理事会で北朝鮮の制裁違反行為を専門的に監視してきた北朝鮮制裁委員会の専門家、識者の任期がロシアの拒否権行使により最近否決された事実を挙げ、北朝鮮の制裁違反行為を具体的に監視するのがさらに困難になる可能性があると懸念を示した。 政府の情報通は「韓国政府が中国の企業に勤務する北朝鮮労働者の強制労働など現場の実態を直接把握した上で、制裁の必要性を検討し、関連法規を制定する必要がある」と主張した。 また、実際に中国の工場で勤務する北朝鮮労働者たちの人権が弾圧されている状況まで具体的に明らかにし、非営利団体が所在するアメリカでは大きな波紋を引き起こした。 「The Outlaw Ocean Project」がインタビューを行った結果、回答した匿名の北朝鮮労働者たちは、毎日のように、暴力や最悪の場合は性的虐待まで受けていると証言した事実が公開された。 2019年末から2022年5月まで冷凍されたタラの内臓276.2トンを韓国市場に輸出したとされる大連に所在する企業で働いている匿名の北朝鮮女性は、インタビューを行う団体に「もし私が逃げて捕まったら、中国や北朝鮮によって痕跡もなく殺されると脅された」と、北朝鮮労働者の人権が深刻な状況にあることを証言した。 別の女性労働者は、「もっとも悲しくて恐ろしかった瞬間は、飲み会に無理やり連れて行かれて性的暴行を受けた状況だ」と述べた。北朝鮮労働者たちは、中国の会社が雇用した警備員によって常に監視を受けながら1日18時間働いているなど、プライバシーもなく法の保護外に存在している。さらに、月に1日しか休めない強行軍を毎日行っていると、この団体は明らかにした。

北朝鮮の森林荒廃は全世界ワースト3…金正恩自ら復興を推進する「植樹節」

北朝鮮の「植樹節」森林復興に強い意志を示す金正恩過去には直接植樹する様子も公開 北朝鮮の金正恩国務委員長は、軍事力の増強のみに集中しているように見えるが、実は「植樹」にも注力している。 毎年、自らシャベルを持って植樹を行う国家が指定した記念日があるというが、その背後に隠された意図は注意深く見る必要がある。 韓国には「植木日」という記念日があるが、北朝鮮でも3月2日の「植樹節」には、北朝鮮の様々な道、市、郡で植樹が行われる。一般市民だけでなく、北朝鮮の高位幹部も総出で、金正恩も参加する。 2022年には金正恩が平壌の華城地区で第2回初級党書記大会の参加者とともに記念植樹を行い、その際、サングラスをかけたままシャベルで土を掘る姿が話題となった。 その後、金正恩は2年連続で植樹節の公式スケジュールに出席していないが、常に植樹の重要性を説いている。 北朝鮮の国営通信社である「朝鮮中央通信」は、昨年には「平壌市の区域において、軍隊や工場、企業の労働者たちは、国の自然資源を増やし、国土の面目を一新しよう」と報道したかと思えば、今年は「地方発展20×10」政策を迅速に推進するためには早く成長する種類の木を植えるべきだと奨励した。 特に、朝鮮労働党中央委員会の日刊機関紙である「労働新聞」は、今回の植樹節に「毎年迎える植樹節だが、今年の植樹節は違う」とし、「富国強兵の新たな時代を開くため、闘争に対し、より力強く突き進む意志を倍増させる非常に意味深い日だ」と述べた。 韓国の統一部によると、金正恩は2012年、談話の中で「国の森林の状態が深刻だ」と指摘した。そして、10年以内に伐採された裸山をすべて森林化するという意志を明らかにしたが、これは深刻な経済難と大飢饉による森林荒廃が甚だしいためだ。 北朝鮮の80%が森林であるにもかかわらず、過度な伐採などにより荒廃し、干ばつや洪水、山崩れなどの自然災害が頻繁に起こっている。 その後、金正恩は毎年新年の挨拶で「森林復興」を強調するほど、森林復興を主要政策として推進している。2015年には森林造成事業を特別に指示したこともある。 実際、北朝鮮の平壌には電力が供給されているが、まだ大部分の地域は木材を利用している。 しかし、このような努力にも、依然として荒廃地が多いと伝えられている。調査によると、北朝鮮の森林の20~30%である200~300万ヘクタールが毀損しているとされている。 イギリスのリスク管理専門企業「Maple Croft」が発表した「森林荒廃化指数」では、北朝鮮は全世界180カ国中3番目に深刻であることが明らかになり、アジア開発銀行と国際連合の報告書では、北朝鮮の森林率が1990年の68%から2010年の47%へと、20年のあいだに急激に減少したといわれている。 また、韓国内の北朝鮮専門家たちは、「北朝鮮が単独で森林造成に成功するのはほぼ不可能だ」と分析している。 一方、北朝鮮の植樹節はもともとは4月6日だった。 しかし、金正恩の祖父、父である金日成(キム・イルソン)と金正日(キム・ジョンイル)が1946年3月2日に平壌の牡丹峰(モランボン)に登り、森林造成の構想を提唱したことを記念し、1999年に3月2日に変更された。 植樹節には、北朝鮮の市民は木を植えたり、森林保護活動に参加したりしている。

悪天候の中キム・ジョンウン親子の視察で強行された訓練で多数の死亡者と負傷者発生

キム・ジョンウンが視察した空挺訓練で多数の死亡者、負傷者発生 北朝鮮のキム・ジョンウン国務委員長が娘のジュエを連れ視察に訪れた空挺訓練中に、多数の死亡者、負傷者が発生したことが確認された。 先月15日にキム・ジョンウンが娘のジュエとともに北朝鮮航空陸戦兵(空挺部隊)の空挺訓練を視察していた際に兵士たちの墜落事故が発生し、多数の死者と負傷者が出たという。 情報通によると、パラシュート降下が困難な気象条件にもかかわらず、キム・ジョンウンと娘のジュエが視察に来るということで、訓練が強行されたため、このような惨事が発生した。 訓練当時は強風が吹いていて、パラシュートが開かなかったり、隊員同士でパラシュートが絡まったりしたと見られている。また、事故当時、ジュエは双眼鏡を持って現場を見守っていたと伝えられている。 北朝鮮関連の情報通は韓国の放送局「KBS」に対し、「訓練場には強風が吹いていたが、キム・ジョンウン親子の視察が予定されていたため、どうしようもなく訓練は強行された。強風のためにパラシュートが開かず、隊員同士でパラシュートが絡まることもあって、多くの軍人が墜落した。死亡者が出たり、重傷を負ったりして後送された」と述べた。死者の中には20代前半の兵士も含まれていたという。 一方、北朝鮮当局は事故の情報を徹底的に隠蔽した。 北朝鮮の国営通信社である「朝鮮中央通信」は翌日の記事で「戦闘員たちは雹(ひょう)のように仮想敵地に降り注いだ」「完璧な戦闘能力を力強く示した」と報道した。また、キム・ジョンウンが「戦闘訓練で成果を見せた航空陸戦隊戦闘員たち」と記念写真を撮ったと伝えた。

「一般家庭に供給する電力もないのに…」北朝鮮も夢見る電気自動車開発

北朝鮮の電気自動車開発脆弱な電力供給設備不気味なデザインが失笑を誘う 地球上で最も閉鎖された国、北朝鮮。彼らがなんと、電気自動車を公共交通手段として利用することに関心を示しているというのだ。首都である平壌でも夕方になると電気が中断される北朝鮮で電気自動車とは少し意外かもしれないが、 実際に北朝鮮は過去に観光用の小型電気自動車を公開したことがある。 韓国にある「北朝鮮産業技術研究所」は、北朝鮮が1975年から約50年間にわたり、リチウムイオンバッテリーをはじめとする様々な二次電池関連の研究を進めていると説明した。また、電気自動車の開発は一般市民のためのものではなく、平壌のような大都市での利用を目指したものだという。 電気自動車イコール蓄電池車?不気味なキャラクターのようにも… 北朝鮮は1980年代から遊覧船や石炭運搬車などの一部に二次電池を利用してきた。北朝鮮内では電気自動車を「蓄電池車」と呼び、金正恩政権以降、関連技術の開発に拍車をかけているという。北朝鮮が公開した観光用電気自動車の姿を見ると、まぶしい蛍光イエローが車体のカラーに適用されている。 フロントのヘッドライトはキャラクターの目のようになっており、その下は鼻と笑った口のようなデザインになっている。口を大きく開けて笑っているキャラクターのように見え、外見は少々不気味な印象だ。サイドミラーはカニの足を形どったように取り付けられている。側面には窓がなく完全に開放されているため、観光に最適化されており、シートは少々不便そうだが、独立した形で配置されている。 海辺を走る観光用電気自動車鯛とカニをイメージに採用 これらの観光用電気自動車は11人乗りと17人乗りに分かれており、銀色の17人乗りは鯛を、黄色の11人乗りはカニをイメージして作られた。観光用電気自動車が利用される元山市(ウォンサン市)が海辺であることから、このようなキャラクターデザインを採用したとみられている。北朝鮮は観光用電気自動車の完成のために死闘をくり広げたと宣伝したが、その後、実際に利用されたかどうかは確認されていない。 北朝鮮の電気自動車開発のために中国が関連技術を提供しているとの推測も出ている。北朝鮮では中国最大の電気自動車ブランドである「BYD」のモデルが展示されたことがある。平壌の通りで開催された「Madusan 電気自動車展示会」の様子が中国のWeiboに公開された際、BYDの電気自動車が展示された様子もキャッチされた。 電力設備が脆弱な北朝鮮電気自動車の開発がもつ意味とは 北朝鮮の住宅地は、昼夜を問わず電気が供給されないほど関連設備が脆弱だ。あらゆる場所で停電が頻発し、首都である平壌でも、度々電力供給に問題が生じるほどだ。農村地域では、夕食準備のための1時間だけ電気が供給されている。このような状況の中で北朝鮮は昨年、二次電池が搭載された二階建てバスを導入した。 平壌の万景台(マンギョンデ)から大成山(テソンサン)区間を運行したが、牽引力が低く、2階への乗車は不可能で実際の乗車可能人数は20人程度だという。一方、このニュースを聞いたネットユーザーたちは、「電気もないのに何で電気自動車を開発するのか」、「電気自動車の開発に使うお金で住民の福祉に気をつかえ」、「世界に見てもらいたいだけだ」、「ちゃんと走るのかどうか」、「爆発しなければいいが」など、様々な反応を見せた。

プーチンの大統領選勝利を祝福した習近平、中露の関係発展だけでない狙い

習近平、プーチンの大統領選勝利を祝福戦力的パートナーシップ重視裏には中国が抱える領土問題も 最近、ロシア大統領のウラジーミル・プーチンが大統領戦に圧勝し、5期目が現実となったことで、西側の国々は緊張している。特にウクライナへの侵攻が続く中、プーチン大統領のロシア支配に強い警戒を示している。 しかし、中国の習近平国家主席にとっては恐れることなどなく、むしろ望んだ結果といえるだろう。 習主席は、プーチン大統領の当選に際しプーチン大統領と通話し、「ロシア国民の支持を十分に反映した結果だ」と祝福したと伝えられている。また、「中国とロシアの戦略的パートナーシップはさらに継続され、より深い次元まで発展するだろう」と述べたという。 習主席は2年前にロシアのウクライナ侵攻が始まってからも、プーチン大統領との関係に常に関心を持ち、実は侵攻の数週間前にも貿易と安全保障を強化していた。 しかし、中国はこのような習主席の態度に対する代償を払わなければならなかった。中立を主張しながらもロシアのウクライナ侵攻に対する批判を拒否した中国は、欧州側から非難を浴びた。 NATO(北大西洋条約機構)は、中国エリアに対する強硬な路線を反映し、イェンス・ストルテンベルグ事務総長は「我々の価値を共有せず、我々の利益に挑戦している」と指摘した。 しかし、習主席はロシアとの関係にさらに集中すると見られる。一旦、ロシアとの信頼が深まれば、その間に中国は台湾、南シナ海などの領土問題など、他の問題により注意を払うことができるからだ。 だからといって、中国がウクライナ侵攻に対する関心を緩めているという意味ではない。 中国の国営メディアは新華社通信を通じて、選挙結果を信頼性がありそうな内容で報道し、また別の国営メディアのヘッドラインでは、ロシアの「着実に発展する政治プロセス」だと歓迎した。 また、中国は「平和を築く人」というイメージメイキングのために、紛争を終結させるために「絶えず」努力しているとアピールしている。 中国は紛争の終結交渉を推進するために、ロシア、ウクライナおよびヨーロッパの他の地域を李輝ユーラシア事務特別代表が二度歴訪し、二度目の歴訪は最近終了した。

小型ロケット「カイロス」が発射直後に爆発、日韓の民間宇宙産業の現在地

スペースワンの小型ロケット「カイロス」発射5秒後にシステムが中断し爆発韓国でも民間宇宙産業育成に注目 去る13日、宇宙事業関連企業「スペースワン」の固体燃料式小型ロケット「カイロス」が、打ち上げ直後に空中で爆発したというニュースが伝えられた。 カイロスは日本の民間企業が主導して開発した最初のロケットであり、日本中で大きな関心を集め、発射の様子がメディアでもリアルタイムで生中継されていた。機体の爆発により、日本各地で残念がる声があがっている。 日本経済新聞や共同通信、NHKなどの日本の主要メディアによると、13日午前11時1分、スペースワンは和歌山県串本町に位置する自社の敷地内に整備したロケット発射場「スペースポート紀伊」でカイロスを打ち上げた。 日本の民間企業の夢がつまったカイロスは、打ち上げから約5秒後に自律飛行安全システムが飛行を中断し、ひどい轟音とともに空中爆発して粉々になった。 ロケット爆発の余波で、発射場付近の山々が焼け焦げてしまったという話が伝わってきており、機器の残骸があちこちに散らばっている様子も確認できたという。ただ、現地ではすぐに消火作業が行われ、特段の被害は発生せず人的被害もなかったのことだ。今回の機体爆発について、スペースワンは詳細な調査を進めていると話している。 ロケットの名前である「カイロス」は、契約から打ち上げまでの時間を短くするなどの思いから、「時」をつかさどるギリシャ神話の神の名前から名付けられた。カイロスは高さ18m、重さ約23tの固体燃料式の小型ロケットに分類される。このロケットは、従来日本が主力としていたロケットの3分の1レベルの高さで、重量は10分の1と比較的小ぶりなサイズで、保管が容易な固体燃料を使用しているため、効率を最大化したものとなっている。 スペースワンには、精密機器メーカー「キャノン電子」と重工業を主体とするメーカー「IHI」の子会社である「IHIエアロスペース」、大手総合建設会社「清水建設」、「日本政策投資銀行」などが出資している。 世界的に小型衛星関連市場が拡大すると予想し、迅速な市場参入と目標達成のために研究を活発に進めている。今回のプロジェクトにおいて、キヤノン電子はロケットの駆動系と電子制御に関する部品を、IHIエアロスペースはロケットのエンジンと関連する部品開発を担当したという。 しかし、スペースワンのロケット開発は必ずしも順調に進んだわけではなかった。2021年に部品調達が遅れるなどの問題が発生し、計画通りに打ち上げを進められず、計4回も延期された。また、3月9日には、海上警戒区域に身元不明の船舶が侵入し、安全上の問題で5回目の延期が決定された。このような困難な状況を乗り越え、3月13日、ついに打ち上げには成功したが、わずか5秒での爆発となり期待に応えることはできなかった。 当初の計画では、打ち上げ後段階的にロケットが切り離され、最後は約51分40秒後に液体燃料が切り離され、内閣官房の人工衛星1機を軌道に投入する予定となっていた。 今回のカイロスの打ち上げ失敗により、スペースワンの大株主、キヤノン電子の株価が急落するなど、失敗の余波は大きい。 日本だけでなく、韓国でも民間主導の宇宙産業の技術開発に向けた政府の支援が高まる動きを見せている。 今月13日、慶尚南道・泗川市(キョンサンナムド・サチョン市)では、科学技術情報通信部により「大韓民国宇宙産業クラスター発足」イベントが開催された。このイベントには、ユン・ソギョル大統領も出席し、宇宙産業に対する政府の関心の高さがうかがわれた。特に、韓国の学術都市と位置付けられる大田(テジョン)市長のイ・ジャンウは、テジョンを宇宙産業をリードする一流の「宇宙都市」にするという計画を発表した。イ市長は今回のイベントで、テジョンでの宇宙産業クラスターの核心基盤インフラの設立など、テジョンが担う役割について紹介し、今後の発展方向と未来像について発表する場を持った。 イ市長がイベントで提示した発展方向の主な内容としては、まず、宇宙技術革新人材養成センターを拠点としてグローバル宇宙教育ネットワークハブを構築すると話した。また、世界的に脚光を浴びている民間宇宙産業の創出促進のための宇宙技術開発支援と人工衛星「テジョンSATプロジェクト」の推進を明らかにした。 さらに、市内に位置する宇宙航空・ナノ半導体国家産業団地に宇宙企業と関連した支援施設を開発し、民間企業が中心となるニュー・スペースR&Dタウンの造成などを実現して、宇宙産業の成長生態系を構築するという意志を示した。 韓国宇宙航空産業(KAI)は、今年物価上昇などを理由に100億ウォン(約13億円)以上の資金支援を約束し、また、緊急資金融資条件の緩和などの政策を実施すると発表した。このような韓国宇宙航空産業の決定に、韓国内の中小の協力会社は、グローバル航空宇宙産業のサプライチェーン崩壊による様々な問題を一緒に考え、韓国航空宇宙産業の持続的な成長のために生産能力の強化に率先して取り組むと話している。 ソン・ホチョルKAI運営センター長は、「国内外の航空宇宙産業の経営環境は非常に厳しいのが実情だが、成長力のある完成機輸出の拡大と機体事業の回復などで韓国航空宇宙産業の第2の成長力を保持できるだろう」と述べ、韓国の宇宙航空産業が危機を克服することを期待した。

核兵器開発を容認するかのようなプーチンの姿勢に期待する金正恩

段階的なロシアの戦略 「北朝鮮は独自の核の傘にある」 北朝鮮、核保有国としての地位認定に焦り 13日(現地時間)、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、北朝鮮が独自の「核の傘」を持っていると話した。この発言はロシアが核拡散防止条約(NPT)を完全に無視し、北朝鮮の核保有国としての地位を公式に認めようとする戦略の第一歩と解釈することができる。 ロイター通信は、韓国とロシアの関係が悪化し続けた場合、プーチン大統領は北朝鮮が核保有国であることをさらに公式化する措置に進むと予測しており、プーチン大統領は同日、ロシアの放送局「ロシア1」等とのインタビューで「朝鮮民主主義人民共和国は独自の核の傘を所持している」と話した。 これについてある核専門家は、「プーチン大統領の今回の発言は、北朝鮮の核保有を認める方向転換をしたものだ」とし、「このような発言は韓国を揺さぶる戦略の一つである」と説明した。また、「プーチン大統領が2024年に訪朝し、北朝鮮の核保有国としての地位を公式に認めて、核開発の相互協力に実質的に進む可能性がある」と懸念の声を示した。 北朝鮮は技術的には既に核兵器製造能力を備えていると認識されている。しかし、これは国際的に核保有国の地位を獲得することとはまったく別の問題だといえる。 核拡散防止条約(NPT)の締結により、世界の核保有国は米国、ロシア、英国、フランス、中国など計5カ国に限定されている。そのほか、条約とは例外に、政治的問題で核保有を確認されている国は、インド、パキスタン、イスラエルがある。 インド、パキスタン、イスラエルは、核拡散防止条約で禁止されている核兵器を独自に開発し、「事実上の核保有国」の地位を得た。 北朝鮮も核を継続的に研究開発し、「事実上の核保有国」の称号を得ようとしていると予想される。 国家安全保障戦略研究院のキム・ソンベ首席研究委員が最近発表した「北朝鮮の事実上の核保有国としての地位に関する追及経路の検討及び考慮事項」というレポートによると、インドとパキスタンは核実験を行った後、米国との交渉を通じて制裁解除を獲得し、原子力協力を行って、核保有国の地位を確保している。 また、イスラエルは米国と密約を締結し、核規制に対する制裁を受けずに、政治的に核保有国の地位を確保したといわれている。このような事例を参考に、北朝鮮も長期間の核実験後、米国との積極的な交渉を通じて核保有国の地位を獲得するために努力してきた。しかし、2019年にハノイで開催される予定だった米朝首脳会談が決裂し、北朝鮮の核保有国の地位獲得は失敗した。 ただし、トランプが米国で再度政権を獲得した場合、北朝鮮が望む通りに進むのではという予測もある。しかし、核問題は全世界に大きな脅威をもたらす可能性があり、北朝鮮は休戦国であるため、政治的な核保有承認国の称号が簡単に得られることはないだろう。 反論として、実際、北朝鮮は国際社会で9番目に核兵器を保有した国と評価されているが、米国などの主要国は北朝鮮の「核保有国の地位」を認めていない。 また、北朝鮮が組立・製造できる核弾頭数は日々増加している。2023年基準の45~55基から、2024年の核弾頭数は50~70基の間まで増加したと推定されている。韓国国防部と牙山(アサン)政策研究院は「北朝鮮が最大100基以上の核弾頭を所有している可能性がある」と伝え、さらに、「北朝鮮はプルトニウムと高濃縮ウランなどで作られた核物質も大量に保有している可能性がある」とみている。 北朝鮮は米国本土を脅かすことができる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を所有しており、核分野の開発・製造において相当な水準に達したといわれている。さらに、北朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発にも積極的に取り組んでおり、韓国や日本と全世界の安全保障に脅威を与えている。 それならば、プーチン大統領はなぜ北朝鮮を支援しているのか? 現在、ロシアはウクライナと2022年から激しい戦争を繰り広げている。戦争当初は、ロシアの強力な軍隊がウクライナを圧倒するだろうと予測されたが、ウクライナ軍の強い意志と西側諸国の支援により、戦争はいまだに続いている。欧米勢力のウクライナ支援と、韓国や日本も同様にロシアを支持しておらず、ロシアは世界中で孤立した立場となっている。 プーチン大統領が金正恩ないし、北朝鮮を支持し、「核保有国の地位」を獲得すれば、ロシアと北朝鮮は核の研究開発を協力し合うだろうと予測される。 戦争を繰り広げているロシアと休戦中の北朝鮮が「核」を持ち、深度のある研究を進めることは、世界の人々の安全保障に直接的な脅威を与える可能性がある。このような情勢で、北朝鮮が核保有国の称号を簡単に得ることは難しいと思われるが、ロシアの好戦的な態度を受け、まったく安心できない状況になっている。

読まれています