パリオリンピックでトライアスロンとマラソンスイミング(オープンウォータースイミング)は不名誉な注目を浴びる残念な競技となってしまった。
選手たちにはまったく非はなく、両競技の会場となったセーヌ川の水質は開会前から様々な論争を巻き起こしてきた。
9日(日本時間)に開催されたマラソンスイミング男子10キロでは、ハンガリーのクリシュトフ・ラショブスキが1時間50分52秒7の記録で金メダルに輝いた。
マラソンスイミング男子10キロには31名が出場予定であったが、スウェーデンのビクトル・ヨハンソン、トルコのアハメド・ジャワディはスタート前に棄権し、レース途中で4選手が途中棄権した。
ロイター通信によると、ヨハンソンはセーヌ川の水質が健康に与える悪影響を懸念して辞退したという。
ヨハンソンは地元スウェーデンのメディアを通じ、「多くの情報が飛び交っているが、たしかなことはセーヌ川で泳いだ後に体調不良を訴えている人がいるということだ」と述べた。
マラソンスイミング男子10キロをもって、パリオリンピックのイシューの1つであった「セーヌ川」での競技は全日程を終了した。
トライアスロン3競技(男女個人、混合リレー)は男子個人が開会日からの降雨で水質が悪化し、1日延期されて、女子個人と同日に開催された。
また、ベルギーが女子個人に出場した選手が体調不良を訴えたことにより混合リレーを棄権することを決めた。
ただし、マラソンスイミングの女子10キロでは、なんとかエントリーした24人の選手全員が完泳した。
さらに、トライアスロンの競技中にはある選手がゴールした瞬間に嘔吐する場面がテレビ中継にはっきりと映し出され、議論を醸した。河川水の汚染を消毒するために競技後にコーラを飲む選手も目立った。
選手からは「セーヌ川の水質に応じて日程が頻繁に変更され、競技に悪影響を及ぼした」、「選手たちがオリンピック出場を辞退できないことを知っていながら、セーヌ川での開催を強行した」といった批判があったが、国際オリンピック委員会とフランス政府、パリ市はセーヌ川での競技を強行し、全日程を終えた。
フランスは今回、セーヌ川の水質浄化のため、15億ドル(約2,210億円)もの予算を投入したが、セーヌ川の水質論争はパリオリンピックにとって最も不名誉な話題の1つとなった。