韓国・ソウル特別市江南区論峴洞(カンナム区ノニョン洞)にある建物の外壁に掲示されていた広告映像が、論争を受けてわずか4日で撤去された。この広告は、LGBTQ+向けアプリを宣伝するもので、恋人同士がキスをしたりハグするシーンが含まれていた。
江南区庁は「風俗を害する恐れがある」という苦情を受け、該当広告の撤去を要請し、広告は中止された。
8日に韓国メディア「聯合ニュース」の報道によると、アプリの韓国内運営会社は、先月26日から建物外壁の電光掲示板に1年間、1日100回以上の放送を行う契約を締結していたが、区庁からの要請で掲示は4日で終了した。区庁は屋外広告物法に基づき「猥褻や退廃的な内容を禁止する規定」を理由に広告中止を指示した。
一方、アプリ運営側は今回の措置に強く反発し、「国内でアプリを運営するために多額の費用をかけて契約を結んだにもかかわらず、事業に大きな打撃を受けた」とし、「2024年になっても、LGBTQ+関連の事業がこのように軽視されるとは思わなかった」と訴えた。
ソウルクィア文化祭組織委員会の事務局長、ヤン・ウンソク氏は「区庁は苦情に基づいて対応したと説明しているが、実際には行政機関の意向が反映された決定だ」と述べ、「性的マイノリティに関連するコンテンツを一方的に『猥褻』や『堕落』とみなすこと自体が、差別的な視線を含んでいる」と主張した。
LGBTQ+コンテンツに対する差別の問題は国内外でたびたび議論されている。キャセイパシフィック航空が男性カップルが手をつないでビーチを歩く広告を地下鉄駅と国際空港に掲示したが、公共企業であるMTRと空港側がこれを不適切と判断し、広告掲示を中止させた。しかし、同性愛コミュニティからの強い反発を受け、MTRは最終的に広告掲示を許可した。
また、2023年には韓国の大田市(テジョンコ市)が大田女性映画祭で、LGBTQ+をテーマにした映画『娘について(韓国語原題)』の上映中止を要求し、論争が発生した。最終的に、主催者側は市からの補助金を返還し、市民からの募金で映画祭を続行することを余儀なくされた。