「性別論争」を世界中で巻き起こしたパリ五輪のボクシング女子66キロ級の金メダリスト、アルジェリアのイマネ・ヘリフについて「生物学的に男性である」とした医療報告書が流出した。
5日、インドメディアの「ザ・タイムズ・オブ・インディア」と「ヒンドゥスタン・タイムズ」によると、フランスの現地メディアが入手した文書には、「ヘリフの睾丸は体内に埋もれていて、XY染色体を持っている。しかし、子宮は見当たらない」と記載されていたという。
さらに「5α還元酵素欠損症」についても言及されているという。
男性ホルモンとして有名なテストステロンは、体内で「5α還元酵素」と呼ばれる酵素によりジヒドロテストステロンという別の男性ホルモンに代謝され、これが男性の外性器を形成する。
5α還元酵素欠損症の場合、性染色体は男性と同じXYであるものの、ジヒドロテストステロンが合成されず外性器が十分に形成されないため、出生時には女性と誤認されることがあるという。
しかし、染色体は明らかに男性型で、思春期に入ると髭が生えたり、声変わりが起きたりするだけでなく、筋肉量が増えたり、俊敏さが際立つようになったりして、女子スポーツの世界では、やはり男性並みの能力をもつため、公平性に疑問が生じる。
なお、この報告書はパリ市内のクレムリン・ビセトル病院とアルジェリアのモハメド・ラミン・ドバギン病院の専門家らが作成したものである。
昨年の世界選手権では性別適格性検査で男性の性染色体「XY染色体」を持っていることが明らかになり、国際ボクシング協会から失格処分を受けた。
その後、国際オリンピック委員会がヘリフのパリオリンピック出場について、「参加資格と参加規程、大会運営を管理するパリ2024ボクシングユニットが定めたすべての医療規定を遵守している」ことを理由に許可した際には、「他の女性選手にとって非常に不公平だ」との非難が殺到した。
実際、2回戦で戦ったイタリア代表選手は「生命の危険を感じた」と語り、46秒で棄権した。
続く、準々決勝、準決勝、決勝でも、それぞれ、ハンガリーのアンナ・ルカ・ハモリ、タイのジャンジェン・スワンナペン、中国の楊柳を圧倒的な体力差で5-0の満場一致で下し、金メダルを獲得した。
決勝後、金メダルを首にかけたヘリフは「私は女性だ。女性として生まれ、女性として育ち、競技をしてきた」と感極まったように語っていた。
一方、五輪終了後にヘリフは「性別論争」においてネット上で誹謗中傷を受けたとして、『ハリー・ポッター』シリーズの原作者でイギリスの作家J.K.ローリング氏やテスラのイーロン・マスクCEOらの著名人を告訴した。