中国で交通事故により妻と姉、4人の子供を一度に失った70代男性が、30年以上にわたり自発的に交通整理のボランティア活動を続けてきたというエピソードが伝えられた。
3日(現地時間)、香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」の報道によると、中国雲南省昆明在住のジャン・アイチンさん(74)は、1990年に交通事故で姉を失い、1996年には別の交通事故で妻と4人の子供を失った。しかし、深い喪失感に苛まれながらも、亡くなった家族を思い、家に引きこもることはせず、交通整理のボランティア活動を始めたという。
ジャンさんは毎朝6時にバスで昆明の廷安病院前に向かい、交通整理を行うのが日課となっている。この場所は、静脈瘤の手術を無料で行ってくれた病院への恩返しとして選んだという。交通整理以外にも、ジャンさんは人身売買防止を呼びかける木製の看板を持って街頭キャンペーン活動も行った。また、10日に1度は周囲の人々に声をかける習慣も身につけた。
主に残り物やインスタントラーメンで食事を済ませ、月に1度しか肉を口にできない生活の中、街で空き瓶を集めて得た収入も自分のためには使わず、貧しい学生たちを支援するために使った。彼の自宅の壁には「市民のために奉仕するのに遅すぎることはない」という言葉が掲げられている。
聴覚障害を持つジャンさんは、「聴覚障害者」と書かれた帽子をかぶって交通整理を行う。地元住民は、彼が運転手や歩行者に「安全」と呼びかけながら交通整理をする姿を記憶しており、「昆明の善きサマリア人」と呼んで敬愛している。