米航空機スタートアップのブーム・スーパーソニックが、民間航空会社として初めて超音速旅客機の試験飛行に成功した。
これにより、2003年に安全性や高コストの問題で運航を終了した超音速旅客機が、再び商業運航を開始する可能性が高まった。また、世界中どこへでも4時間以内に到達可能な新たな超音速航空市場の開拓が期待されている。
ブーム・スーパーソニックは自社開発の超音速旅客機の試作機「XB-1」の試験飛行を、米カリフォルニア州モハビ砂漠上空で実施した。離陸からわずか12分で高度3万5290フィート(約1万メートル)に到達し、マッハ1.122(音速の1.122倍)の速度を記録して飛行を成功裏に終えた。民間企業が開発した旅客機による超音速飛行の成功は今回が初めてだ。この試験飛行は、米連邦航空局(FAA)の特別許可を得て行われた。
モハビ砂漠は、1947年にチャック・イェーガー大尉が初めて水平飛行で音速の壁を破った歴史的な場所として知られる。今回の試験飛行成功を受け、多くの航空会社が関心を示しており、アメリカン航空やユナイテッド航空など、世界の航空会社がすでに130機以上を事前予約している。
ブーム・スーパーソニックの試験飛行成功により、2003年のコンコルド退役以来20年以上途絶えていた超音速旅客機市場の再会が期待されている。
コンコルドは、英仏共同開発の超音速旅客機で、約100人の乗客を乗せ、マッハ2.02の速度で運航していた。しかし、莫大な維持費や安全性への懸念、騒音問題などの課題により、最終的に市場から撤退を余儀なくされた。ブーム・スーパーソニックは、コンコルドの課題を克服し、超音速旅客機を航空市場に定着させる計画を進めている。
ブレイク・ショールCEOは、今後10年以内に通常の旅客機の2倍の速さとなるマッハ1.7で、世界中どこへでも4時間以内に到達できる航空機の提供を目指すと述べた。さらに、チケット価格を約100ドル(約1万5,000円)程度まで引き下げることを目標としている。
ブーム・スーパーソニックの成功は、新時代の超音速航空市場の幕開けを予感させる。コンコルドが直面した課題を克服し、より安価で安全な方法で一般の人々にも利用しやすい超音速飛行が実現するかが注目されている。