背中全体にタトゥーを入れる前に全身麻酔を受け、心停止により亡くなったブラジルの40代インフルエンサーの話が明らかになった。
先月の海外メディア「ニューヨーク・ポスト」によると、スポーツカーをテーマにしたコンテンツを制作し、インスタグラムで約22万人のフォロワーを持つブラジル人男性インフルエンサーのリカルド・ゴドイ氏(45歳)が亡くなったと報じた。
先月20日、ゴドイ氏のSNSには「ゴドイが他界した」、「彼を応援してくれた全ての人に感謝する」という投稿が掲載された。ゴドイ氏は背中全体にタトゥーを入れる前、ブラジルの病院で全身麻酔を受けた。医療スタッフが全身麻酔と気管内挿管(口・鼻から気管内にチューブを挿入し気道を確保する処置)を開始してすぐ、彼は心停止を起こした。
ゴドイ氏は麻酔科専門医と挿管経験のある医療スタッフを手配していた。そして、全身麻酔を受ける前に麻酔のリスクと副作用について十分に理解し同意する書類に自ら署名もしていた。心停止発生後、心臓専門医が救命を試みたが、ゴドイ氏は最終的に息を引き取った。ゴドイ氏のタトゥー・アーティストは「ゴドイはタトゥーを入れることができずに亡くなった」と語った。
全身麻酔は、部分麻酔や局所麻酔だけでは痛みを完全に取り除くことが難しい場合に用いられる方法である。具体的には、開腹手術や骨折の接合など大きな手術を行う際に行われる。肺に麻酔ガスを送り血液を通じて体内に広げる「吸入麻酔」と、静脈注射で麻酔薬を投与する「静脈麻酔」がある。そして、全身麻酔には「筋弛緩薬」が使用される。
筋弛緩薬は文字通り筋肉を弛緩させ、手術中の痛み刺激に対する反射作用を抑制する。呼吸を維持する際に使われる筋肉も麻痺させるため、患者は自発呼吸ができなくなる。そのため、気管に管を挿入して人工的に呼吸を維持することになる。
全身麻酔には筋弛緩薬を使用しない「睡眠麻酔」もある。意識が完全に失われる一般的な全身麻酔とは異なり、睡眠状態で呼吸は自己管理できる。内視鏡検査や脂肪吸引など、比較的痛みの少ない処置を行う際に用いられる方法だ。
米国麻酔科学会(ASA)によると、全身麻酔後の死亡率は1万人当たり21~23人とされている。全身麻酔後の死亡原因は多岐にわたる。▲呼吸停止や呼吸困難による酸素不足を引き起こす「呼吸不全」 ▲心臓が停止する「心停止」 ▲脳血管が詰まるか破裂する「脳卒中」 ▲血栓が肺に移動して肺を塞ぐ「肺血栓塞栓症」 ▲麻酔薬に対するアレルギー反応により呼吸困難、低血圧、ショックなどが発生する場合などがある。したがって、全身麻酔を受ける際は麻酔科専門医の診察を受け、麻酔前に徹底的な身体検査を行い、麻酔のリスクを十分に理解することが重要である。