交通渋滞がファストフードレストランの利用を増加させ、不健康な食習慣につながる可能性があることが研究で明らかになった。
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先月21日、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームが学術誌「都市経済学ジャーナル」にこの研究結果を発表した。
研究によると、交通渋滞はファストフード摂取量を増加させる要因のひとつだという。研究チームはロサンゼルスにおける2年間の交通パターンとファストフードレストランの来店データを分析し、交通渋滞が食生活に与える影響を調査した。
研究チームは、予想外の交通渋滞がファストフード店の利用増加につながることを示すため、データを基にした計算モデルを作成した。その結果、1マイル(約1.6km)あたり30秒の交通遅延が発生するだけで、ファストフードレストランの来店率が1%増加することが判明した。特に、夕方のラッシュアワー時にはファストフードの利用が増え、食料品店の利用が減る傾向が見られたという。研究チームの分析によると、午後5時から7時の間に交通渋滞が発生すると、多くのドライバーが自宅での食事を諦め、手軽に購入できるファストフードを選ぶ可能性が高くなるという。
アメリカの主要都市の高速道路沿いにはファストフードレストランが多く立地しており、この傾向はロサンゼルスに限ったものではない。研究チームは、交通渋滞が不健康な食品選択につながることを踏まえ、インフラの見直しが必要だと指摘する。具体的には、渋滞を緩和するための道路整備、公共交通機関の利用促進、在宅勤務の機会拡大などが対策として考えられる。
研究著者であるベカ・テイラー博士は、「交通渋滞は本質的に時間の損失を引き起こす。時間的制約を緩和することを目的とした政策は、結果的に食習慣の改善にもつながる可能性がある」と説明し、「単なる渋滞対策ではなく、交通渋滞を減らすための道路インフラ整備、公共交通機関の利用促進、在宅勤務の拡大などが解決策として挙げられる。」と研究チームは強調した。