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パキスタンでチョコレートを盗み食いしたという理由で幼い家政婦を拷問・殺害した雇用主の夫婦が逮捕された。
今月18日(現地時間)、海外メディア「BBC」の報道によると、パキスタン北東部のパンジャーブ州・ラーワルピンディーで、家政婦として働いていた12歳の少女を殺害した容疑で夫婦が逮捕された。
「イクラ」という名前だけが知られているこの少女は、今月5日に多発外傷により死亡した。警察による初期調査では、少女が拷問に近い暴行によって命を落としたと結論付けられた。
警察の関係者は、少女が雇用主の夫婦から頻繁に虐待を受けていた証拠があると述べた。
父親の借金返済のため8歳から家政婦として働いていた少女は、2年前に加害者夫婦の家に来たという。8人の子どもがいるこの家庭で、少女は23ドル(約3,450円)の月給で働きながら、雇用主から度々暴行を受けていた。
パキスタン人権委員会(HRCP)の子ども権利大使を務めるシャール・バーノ氏が公開した少女の写真や動画からも、凄惨な暴行の痕跡が見て取れた。
痩せこけた少女の体のあちこちに青あざや傷があり、頭部や四肢には骨折の跡があった。
バーノは「胸が血の涙でいっぱいだ。いったい何人の『イクラ』が、わずかな金のために家事労働に苦しみ、暴力を受けているのか。この国はどうしてここまで無感覚になってしまったのか」と厳しく非難した。
現地では「#イクラに正義を(#JusticeforIqra)」というハッシュタグを付けた投稿が数万件に上り、児童労働や家事労働者の虐待に関する議論が再燃している。
少女が亡くなったパンジャーブ州では15歳未満の子どもを家事労働者として雇用することを禁じているが、法律は守られていない。過去に家政婦として働いていて雇用主の虐待により命を落とした他の多くの少女たちと同様に、イクラも犠牲になったことに人々は怒りを覚えている。
少女の父親は「警察から連絡を受けて病院に駆けつけたとき、娘は意識不明でベッドに横たわっていた。そしてわずか数分後に息を引き取った。娘の死で私の心は完全に粉々になった」と語り、「娘の死に責任のある者たちが罰せられるのを見届けたい」と強く訴えた。
しかし、少女を殺害した夫婦が相応の処罰を受けるかは分からない。
2016年には、働いていた10歳の家政婦を残虐に暴行したパキスタンの裁判官夫婦が、3年の実刑判決を受けたものの、2年も経たずに釈放された前例がある。
国際連合児童基金によると、パキスタンでは約330万人の子どもが家事労働などに従事させられているという。
一方、警察はイクラの正確な死因を特定するため、遺体を解剖し、最終的な医学報告書の結果を待っていると伝えた。