「ロボットが観客に向かって突進」
中国のヒューマノイドロボット、誤作動で「ヒヤリ」

中国の春節祭会場で、AI搭載のヒューマノイドロボットが、手を伸ばした観客に向かって突進するような動きを見せ、危うく事故になりかけた。
26日(現地時間)、アメリカの工学専門メディア「インタレスティング・エンジニアリング」などによると、先月末に「中国中央テレビ(CCTV)」の春節特別番組に登場したヒューマノイドロボットが、イベント会場で観客に向かって突進するような様子を捉えた映像が、SNS上で後日公開された。
映像では、安全バリケードの後ろにいた観客らがロボットに向かって手を伸ばしている。観客を見つめながら立っていたロボットは、よろめきながら観客の方へと近づき、突然バリケードに向かって突進するような動きを見せた。制御力を失ったロボットに対し、周囲にいた警備員が素早く制止し、ロボットは1人の男性によって後方へ引きずられた。
この映像をInstagramに投稿したネットユーザーは「中国のAIロボットが観客に対して攻撃的な行動を取った」とし、「その動きが不気味なほど人間的だった」と述べた。この投稿は、オンライン上でAIロボットの安全性に関する議論を巻き起こした。
一部のネットユーザーは、ロボットが人間の命令に従わず、人類を支配しようとする内容の映画『アイ、ロボット』に言及し、「映画はすでに警告していた。あれはドキュメンタリーだった」と反応を示した。一方で、他のユーザーは「ロボットが突然転倒したように見える」とし、観客を意図的に攻撃したのではないと主張した。ロボットの突発的な動きは、機械の誤作動や転倒しそうになりバランスを取ろうとする動きだという主張だ。

このロボットは、中国のユニトリー(宇樹科技)が開発したヒューマノイドロボット「H1」で、CCTVの春節特別番組でダンスを披露し、全国的な注目を集めた。ステージではハンカチを投げるなど、高度なダンス動作も見せた。このロボットは、最近オンラインで65万元(約1,329万円)で予約販売され、発売直後に完売となった。身長180cm、体重47kgで、秒速3.3mの速さでで平面上を素早く移動できる。自社開発の高性能電動モーターとセンサーにより精密な動作ができ、物流センターや工場など様々な作業現場での活用が期待されている。
専門家は、今回の事故がロボット工学の直面する重要な課題を示していると分析した。ロボットは通常の条件下では安定性を維持するよう設計されているが、バランスを崩したり障害物に直面したりした場合、進路修正の過程で突発的な動きをする可能性があるという。このような不規則で予測不能な動きは、人間にとって脅威的に感じられることがあると、メディアは伝えている。
中国当局は「ヒューマノイドロボットが事故なく性能テストを通過したことを確認しており、この事件を踏まえて今後システムの微調整を行う計画だ」と述べたと報じられている。製造元は「プログラム設定またはセンサーのエラーによって発生した事故」と説明したとされる。