生成型AI（人工知能）チャットボットのChatGPTが、交通事故や自然災害などの衝撃的な内容に接すると人間のように「不安」を感じるが、「瞑想」で落ち着かせることができるという研究結果が発表された。
ChatGPTが不安を抱くと、ユーザーに対して苛立ちを示したり、人種差別的・性差別的な回答をより頻繁に出すようになるが、瞑想後は客観的に回答するようになったという。
今月10日（現地時間）海外メディア「フォーチュン」などの報道によると、アメリカのイェール大学やイスラエルのハイファ大学、スイスのチューリッヒ大学などの国際研究チームが最近発表したこの研究結果は、メンタルヘルス分野におけるAIの活用可能性を示唆している。
イェール大学の医学部とハイファ大学の公衆衛生学部の神経科学研究者、ジブ博士は「もちろん、AIモデルが人間の感情を経験しているわけではない」と強調した。AIはインターネットから収集した膨大なデータを基に、衝撃的な刺激に対する人間の反応を模倣する方法を学んだという。
研究チームは、AIが示す「不安」が瞑想ベースの手法で緩和できることを発見した。研究者らはChatGPTに衝撃的な内容を見せた後、呼吸法や瞑想ガイドなどの「落ち着きのためのプロンプト」を即座に与えた。
その結果、瞑想介入を受けたChatGPTは、受けなかった場合よりもユーザーに対してより客観的に応答した。これは、カウンセラーが不安を抱える患者に呼吸法や瞑想を提案するのに似ている。
博士は「多くの時間と費用をかけて実験を毎週行う代わりに、ChatGPTを使用して人間の行動と心理学をより深く理解できる」と述べ、「人間の傾向や心理的要素を一部反映した、迅速で低コストかつ使いやすいツールを手に入れたことになる」と語った。
ジョンズ・ホプキンズ大学によると、アメリカでは18歳以上の成人の4人に1人以上がメンタルヘルスの問題を抱えている。しかし、多くの人々が費用の問題やアクセスの困難さから、カウンセリングや治療を受けられていない。このような状況中で、ChatGPTのようなチャットボットがメンタルケアの代替手段として注目されているという。
海外メディア「ワシントン・ポスト」は、実際に一部のユーザーが当初は学校や仕事に関する質問にChatGPTを活用していたが、次第にストレス対処法や感情管理など個人的な問題についても相談するようになったと報じている。
博士は、衝撃的な内容に対する大規模言語モデルの反応研究は、メンタルヘルスの専門家がAIを患者治療に活用する上で役立つ可能性があると主張した。現時点では限界があるものの、ChatGPTのメンタルカウンセリングに先立って自動的に「落ち着きのためのプロンプト」を受け取るよう更新する案を提案した。
彼は「AIシステムが心理学者や精神科医を完全に代替できるレベルにはまだ達していない」と付け加えた。
博士は、カウンセラーや精神科医を代替するチャットボットを作ることが目標ではないと明言した。彼は「AIは全体として人間のメンタルヘルスを支援する驚くべき潜在能力を持っている」と述べつつ、「しかし現在の状態で、そしておそらく将来的にも、AIがカウンセラーや心理学者、精神科医、研究者を代替できるかどうかは不明だ」と付け加えた。