電動スクーターで疾走する高齢者、通行人とぶつかり「暴言」
地下鉄の駅構内で電動スクーターに乗った高齢者が歩行者とぶつかった後、そのまま現場を立ち去るという事故が発生した。
9日に放送されたJTBC『事件班長』によると、被害者の女性A氏は先月28日の退勤時間にソウル駅構内を歩いていたところ、70〜80代と思われる高齢男性の運転する電動スクーターにぶつかり、全治2週間の怪我を負ったという。

公開された防犯カメラの映像には、アメリカの国旗などの装飾が施された電動スクーターを運転する高齢者が、地下鉄の駅構内で人々の間を疾走する様子が映っていた。
A氏によると、この高齢者は駅構内で人々の間を高速で走り、A氏の腰と臀部に激しくぶつかったという。
さらに衝撃的なのはぶつかった後の態度だ。彼は速度を落とさず、そのまま前に進もうとし、「なぜ私の進路を妨げるんだ」と怒鳴り、罵声を浴びせたという。
驚いたA氏が怪我の確認をしている間に、運転手そのまま現場を立ち去った。
繰り返される危険行為「毎日駅構内を暴走する人物」
パク・ジフン弁護士は「(高齢者が)後ろからぶつかったため、故意である可能性もあり、過失には100%の責任があるとみなされる」と述べた。
現在、A氏は警察と駅側に通報しており、加害者の高齢者は「そのようなことはしていない」と自分の行為を否定しているという。
A氏は「加害者は障がいがあるようには見えなかったが、精神的に問題があるように見えた」と述べ、「警察からは『高齢者は貧しい境遇が考慮され、処罰が軽くなる可能性がある』との話も聞いた」と伝えた。
この事故でA氏は太もも、ふくらはぎ、足首などに多発性外傷を負い、全治2週間の診断を受けた。特に膝と腰の痛みが深刻な状態で、治療費は全額自己負担となっている。

さらに懸念されるのは、この高齢者の行動がこれが初めてではないという事実だ。
A氏はソウル駅の案内スタッフから「この高齢男性はほぼ毎日のように電動スクーターで駅構内を走り回っており、この辺では有名だ」との話を聞いたという。
これに対し、A氏は「誰も注意しないから、自分が伝えるべきだと思った」と通報の理由を語った。
映像を見たネットユーザーからは「電動スクーターは押収し、ひき逃げ犯として拘束すべきだ」、「障がい者でもないのに電動スクーターに乗っていいのか」「年を取っただけで立派な大人になるわけではない。他人への配慮や社会的なルールを守ってこそ、大人として認められるものだ」などの反応が寄せられた。
今回の事故は、公の場でのパーソナルモビリティの安全問題を再び浮き彫りにした。
韓国の現行法では、電動スクーターは道路交通法上パーソナルモビリティとして分類され、歩道や地下鉄駅構内での走行が禁止されている。しかし、これを取り締まる実効性のある方策が不足しており、類似の事故が繰り返されているのが現状だ。