
砂糖の数百倍の甘さを持ちながら、ほとんどカロリーがゼロのため、ダイエット食品などに広く使用される人工甘味料「サッカリン」が抗生物質耐性を無効化するという研究結果が発表され、注目を集めている。
人工甘味料サッカリン、薬剤耐性菌を死滅させる効果
10日、コメディドットコムは、アメリカの科学メディア「Phys.org」が国際学術誌「EMBO Molecular Medicine」に掲載された研究結果を引用し、「薬剤耐性菌を死滅させ、従来の抗生物質の効果を高めることが明らかになった」と報じた。
この研究はイギリスのブルネル大学(Brunel University London)の研究チームによって行われたもので、同大学の抗菌イノベーションセンターを率いるローナン・マッカーシー教授は「ヨーグルトや無糖飲料などのダイエット食品に使われているサッカリンが、世界で最も危険な病原菌の一つとされる『多剤耐性菌』を死滅させることがわかった」と述べた。
抗生物質に対する耐性は、現代医療における最も深刻な課題の一つとされている。世界保健機関(WHO)は、薬剤耐性問題を人類の健康を脅かす最も緊急な課題の一つとして指摘しており、2050年には薬剤耐性による年間死亡者数が癌による死亡者数を上回る可能性があると警告している。
WHOは「優先病原体リスト(Priority Pathogens List)」に、敗血症や慢性肺感染症に関連する緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)やアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)などの菌を挙げ、これを監視しており、これらの薬剤耐性菌は免疫力が低下している人の命を簡単に奪う可能性があるとした。
英研究チームの研究「抗生剤との戦い、サッカリンが新たな治療法に」
研究によると、サッカリンは細菌の成長を抑制し、DNA複製を妨げるだけでなく、細菌が抗生物質に対抗できるようにするバイオフィルムの形成を防ぐ効果がある。また、研究チームはサッカリンを含有するハイドロゲル創傷ドレッシングも開発しており、このドレッシングは、現在病院で一般的に使用されている銀イオンベースの抗菌ドレッシングよりも高い効果を示したという。
マッカーシー教授は「通常、新しい抗生物質を開発するには数十億ドルと数十年の時間がかかるが、すでに広く使用されているサッカリンのような化合物を応用することで、薬剤耐性菌を殺菌できるだけでなく、既存の抗生物質の効力も向上させることができる」と述べ、「耐性菌による感染症に対する新しい治療薬が早急に求められている中で、サッカリンは非常に有望な選択肢となり得る」と語った。