
認知症の父親に暴行を加え死亡させたとして、尊属殺人罪に問われた50代のA被告に対し、裁判所が懲役10年の実刑判決を言い渡したことが明らかになった。
11日、韓国・法曹界の関係者によると、A被告は1月1日午前1時6分頃、韓国の忠清南道・瑞山(ソサン)市のアパートで、認知症の症状が悪化し、失禁を繰り返すようになった父親(79歳)に暴行を加え死亡させたとして起訴されたという。
A被告は当日深夜まで酒を飲み、帰宅後、部屋の中に漂っていた父親の尿臭に激怒し、怒りを抑えきれず犯行に及んだとされている。
裁判所は「一度の暴行にとどまらず、一時的に酔いが覚めたあとも暴行を続け、結果的に父親の命を奪った」と指摘した。失われた命の重さと、遺族が感じるであろう精神的苦痛を考慮し、厳しい判決を下したという。
一方で裁判所は、A被告が15年以上にわたり両親を扶養してきたことや、事件前の1か月間、認知症を患う父親を介護していたこと、また事件当日は飲酒状態で感情を抑えきれなかった点などを、一定の情状酌量の事由として認めた。
専門家たちは「高齢者の介護に伴う負担や家族間のストレスが積み重なることで、このような悲劇的な事件に至るリスクがある」と説明した。