中国でAIによる中傷動画が話題に
ホワイトハウス「製造業の国内回帰」を強調
WSJ「アメリカの高賃金・自動化の課題」を指摘

ドナルド・トランプ大統領が米中貿易戦争の目標として「製造業の復興」を掲げる中、中国で人工知能(AI)を用いてトランプ大統領がナイキの運動靴を製造する中傷動画が制作され、注目を集めている。
15日、この動画に関する記者の質問に対し、大統領報道官のキャロライン・レビット氏は「アメリカの労働者の潜在能力を適切に示せていない」とし、「トランプ大統領はアメリカの労働力が世界最高だと確信しているため、製造業の国内回帰に注力している」と主張した。
しかし、「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」は21日(現地時間)、ナイキの製造工程を例に挙げ、トランプ大統領の製造業再興構想の実現は困難だと分析した。
ナイキは過去数年間、中国、インドネシア、ベトナムの工場を北米地域に移転しようと努力したが、大きな進展には至っていない。2015年から労働集約型の靴産業の自動化計画を推進してきたナイキは、2023年にメキシコのグアダラハラに最先端の製造施設を建設したものの、目標には届かなかった。靴の生産量増加に伴い労働者数も増え、結局計画の2倍となる5,000人を、ベトナムよりも高いコストで雇用せざるを得なかった。
ロボットは手縫いや靴底の接着における人間の緻密さに追いつけず、特に温度による原材料の伸縮性や硬度の変化に対応できなかった。さらに、ナイキは自動車やiPhoneとは異なり多品種少量生産を行っているため、常に変化する靴のデザインに自動化された生産ラインが追いつけなかった。
勝利の女神ニケの翼を象徴するナイキのロゴを靴に自動で取り付ける工程を8カ月で完成させても、すでにそのモデルは生産終了となっていた。ナイキの自動化プロセスに関与した関係者はWSJに「製造業の国内回帰は迅速には進まず、資金と忍耐が必要だ」と指摘した。