
工事現場での転落事故で「下半身麻痺」と診断された労働者が歩いている姿が捉えられ、物議を醸している。
22日、JTBCの番組『事件班長』では、下半身麻痺と診断され10億ウォン(約9,937万9,869円)の損害賠償訴訟を起こした従業員が、実際には歩いていたという建設会社社長の情報提供が報じられた。
工事現場で4m転落、脊椎骨折の男性
江原道(カンウォン道)で総合建設会社を経営する60代男性A氏は、2021年にある飲食店の建築工事を請け負った。その工事現場で、労働者B氏が雨で滑りやすくなった鉄筋を踏み、4mの高さから転落する事故に遭った。B氏は脊椎を骨折し、最終的に病院で下半身麻痺と診断された。
翌年7月、B氏は産業災害補償保険法に基づき第1級第8号の障害等級判定を受けた。これは、両足を完全に使用できない状態を意味する。
その後、B氏はA氏を相手取り、産業安全保健法違反容疑で刑事告訴と、10億ウォンの損害賠償を求める民事訴訟を起こした。
刑事訴訟では、「A氏の会社が安全設備を適切に設置していなかったことが事故の原因」として、A氏と関係者に1,000万ウォン(約99万3,798円)の罰金が科され、結審した。
下半身麻痺のはずが…歩く姿を目撃した社長
民事訴訟は現在も続いている。
B氏は法廷で「手術前に医師から麻痺だと言われ、実際に膝下は完全に麻痺している。手術後も改善されず、病院からはもう治療の手立てがないと言われた」と訴えた。さらに「杖や移動補助具を使っても一人では移動できず、妻の介助か障害者タクシーが必要だ。私は労働福祉公団から療養給付を、妻は介護給付を受けている」と主張した。


しかし、裁判の途中でA氏は、B氏と同じ病院に入院していた従業員から「B氏が片足を少し引きずりながら歩いている」という情報を得た。
不審に思ったA氏はB氏を尾行し、実際に歩いている姿を目撃した。A氏が撮影した動画には、補助具なしで両足でしっかりと歩く男性の姿が映っていた。
詐欺容疑で告訴するも不送致に
これを受け、A氏はB氏を詐欺容疑で告訴した。しかし警察は「裁判での発言は主観的意見に過ぎず、一部に誤りや矛盾があっても処罰の対象にはならない」として不送致を決定した。
これに対しB氏の弁護士は「医学的診断に基づいて1級障害と認定された」とし、「作業現場で事故に遭い脊椎骨折の重傷を負った。それに対する正当な賠償を求めただけだ。むしろ労働者を訴えた事業主こそ無責任だ」と反論した。
A氏は「下半身麻痺と診断された人物が自力で歩くことは到底納得できない」として、該当場面を撮影した動画を労働福祉公団に提出し、再検査命令を受けた。