イ・ユギョン韓国極地研究所博士の研究チームとキム・ジュン忠南(チュンナム)大学教授のチームは、北極多産(ダサン)科学基地が位置するスヴァールバル諸島で採集した代表的な植物を対象にした、ゲノム解析の結果を発表した。
北極は地球で気候変動の影響を最も強く受ける場所の一つである。海氷が溶けるなど、生息地の特性が急激に変化する中で、新しい環境に適応し進化する北極の生物が多く存在する。これらの生物の進化はゲノムレベルの研究を通じて追跡することができ、この過程で北極生物のゲノムマップの確保が不可欠だ。
研究チームが分析した植物種は、北極ハナガサ、スヴァールバルヤグイ、北極コケスイ、シーバムコリ、ナドスイ、ジャジュバミ、グリーンランドワサビ、北極ヤナギ、北極ダマザクラ、北極ソウシ、北方花コビ、北極フウセンコケスイ、ナンテンイシモチの13種である。この中で8種のゲノムサイズが推定され、テロメアの進化が明らかにされた。
研究チームは、この中でもナドスイとグリーンランドワサビに焦点を当て、現代版ゲノムプロジェクトを実施し、初めてゲノムマップの確保に成功した。この二つの植物種は北極先住民にビタミンCを供給する食材として重要な役割を果たしている。
分析の結果、ナドスイの塩基対は約6億個、グリーンランドワサビは約2億5000個だった。これは、30億個ある人間のゲノムマップと比較すると、それぞれ5分の1、12分の1の規模である。
極地植物のゲノム情報と高品質なゲノムマップは、今後北極生物の多様性を理解するための重要な手がかりとなると期待されている。また、急速に変化する気候変動に対応して生物の進化や適応の研究にも高い活用が見込まれている。
イ・ユギョン極地研究所責任研究員は、「地球上で最も急速に温暖化が進んでいる北極で、ツンドラ植物が消え去る前に、これらの植物が極限環境にどのように適応しているかを解明し、それらを保全する方法を見つけるために、ゲノム研究がある程度役立つことを期待している」と述べた。
研究結果(論文名: Whole-genome sequencing of 13 Arctic plants and draft genomes of Oxyria digyna and Cochlearia groenlandica)は、多分野にわたる国際学術誌「サイエンティフィックデータ(Scientific Data)」オンライン版に掲載された。