
ベトナムの自動車メーカー、ビンファスト(VinFast)の「VF 3」が注目を集めている。
2023年の初公開以来、大きな反響を呼んだVF 3は現在ベトナム国内のみならず、東南アジアの一部の国でも販売されている。最近、インドネシア国際モーターショー(IIMS 2025)で正式に発表され、電気自動車市場での存在感を高めている。
VF 3はビンファストのラインナップの中で最小の電気自動車で、都市走行に最適化された超小型SUVだ。全長3,190mm、全幅1,679mm、全高1,652mmで、五菱・宏光ミニEVよりは大きいが、キア・ピカントより小さい。最低地上高は191mmでピカントより高く、路面追従性にも優れている。16インチアルミホイールと2ドアハッチバックスタイルを採用し、コンパクトさと実用性を両立させている。

VF 3は後輪駆動方式を採用し、43.5馬力(110Nm)の電気モーターを搭載。バッテリー容量は18.64kWhで、満充電時の最大走行距離は210km(NEDC基準)。10%から70%まで充電するのに36分かかり、0-50km/h加速は5.3秒と、都市走行に適した性能を発揮する。最高速度は100km/hに設定されている。
内装デザインはミニマリズムを追求しており、ボタンを最小限に抑えた2スポークのフラットなステアリングホイールと縦型エアベントが特徴。独立したダッシュボードはなく、全ての情報が10インチの中央ディスプレイに表示される。後部座席は2人乗りで、2列目シートを倒すと285Lの荷物スペースが確保できる。標準装備として、ハロゲンヘッドライト、エアコン、運転席エアバッグ、ABS、バックカメラなどが含まれる。

VF 3の最大の強みの一つは価格競争力だ。ベトナム国内価格で3億1,500万ドン(約183万7,072円)からで、バッテリーリース選択時は2億3,500万ドン(約137万3,060円)に下がる。バッテリーリース料は走行距離に応じて月9万〜20万ドン(約525円〜1,169円)程度。参考までに、キア・ピカントのガソリンモデルがベトナムで3億4,900万ドン(約203万9,140円)から販売されていることを考えると、VF 3は経済的な選択肢として注目を集めている。

ビンファストはインドネシアでVF 3の発売に合わせ、電気自動車充電企業V-Greenと提携し、無料充電サービスを提供すると発表した。VF 3購入者は2028年3月1日まで、既存のVF e34およびVF 5所有者は2027年12月31日まで無料充電が利用可能となる。これによりビンファストは電気自動車の普及を加速し、ブランド競争力を高める戦略だ。
VF 3は単なる超小型電気自動車を超え、都市型SUVとしての利便性を高めたモデルだ。ベトナム国内市場だけでなく、インドや東南アジア全域への輸出が計画されており、グローバル市場でもヒョンデ・インスターなどと競合する可能性が高い。