
妊娠7か月の元妻を残虐に殺害した罪で1審で懲役40年を言い渡された40代の男性が、控訴審でも重刑を免れなかった。
韓国の光州(クァンジュ)高裁 ・全州(チョンジュ)部第1刑事部(ヤン・ジンス裁判長)は23日、殺人および殺人未遂の罪で起訴されたA被告(44)の控訴審判決公判で、検察と被告の控訴を棄却し、1審と同様に懲役40年を言い渡した。
A被告は昨年3月28日、全州市完山(ワンサン)区孝子洞(ヒョジャドン)にある美容室で、離婚した元妻Bさん(30代)に刃物を振るって殺害した罪で起訴されていた。
当時、Bさんは妊娠7カ月の妊婦で、現場に居合わせた事実婚の配偶者にも凶器で傷を負わせたという。
Bさんの死亡後、胎児は帝王切開で救出されたが、生後19日で死亡した。
1審裁判所は「被告は被害者と離婚後、『二度と会わない』という誓約書まで作成したにもかかわらず、継続的に脅迫や嫌がらせを続けていた。もみ合いの末に刃物を奪われたが、再び拾って殺害に及んだ」として、懲役40年を言い渡した。
A被告が一貫して主張した「心神耗弱」も認められなかったという。
裁判所は「国立法務病院の精神鑑定によれば、犯行当時の主な症状は不安と怒りであり、うつ病を患っていたわけではない」とし、「事前に凶器の柄に包帯を巻いて滑り止めの対策を講じたり、可燃性物質などを準備した点から見ると、当時の精神状態は正常だった」と判断した。
1審の判決後、検察とA被告の双方が控訴したが、棄却された。
控訴審裁判所は「被告は犯行を事前に計画し、極めて残虐な手口で被害者を殺害した。遺族はこの事件により言葉では言い表せないほどの苦痛を一生背負うことになった」とし、「被害者の胎内にいた胎児も、母親が殺害されるという悲惨な現実に直面し、家族のぬくもりを知ることもなく、生後19日で命を落とした」と述べた。
続けて、「被告は1審と控訴審で何度も反省文を提出したが、遺族の苦しみを和らげ、許しを得るには到底足りない」と控訴棄却の理由も明かした。
一方、裁判の過程で「被害者が妊娠していることを知らなかったのか」という裁判長の質問に、A被告は「知らなかった」と答え、新生児の死亡は自分とは無関係だというような態度を示したという。また、1審では反省文のみを提出していたが、控訴審が始まってからは遺族に謝罪の手紙を送ったと伝えられている。