
ドイツの大手航空会社ルフトハンザの旅客機が、座席に異物が挟まっていた問題により、飛行中に引き返す事態となったことが明らかになった。
異物が大規模な機内火災につながる可能性があるとの懸念から取られた措置だったという。
26日(現地時間)ビジネス・インサイダーは、23日、アメリカ・ロサンゼルス国際空港(LAX)を出発し、ドイツ・ミュンヘン国際空港(MUC)に向かっていたルフトハンザ航空のLH453便は、離陸から約3時間後、ボストン・ローガン国際空港(BOS)へと引き返したと報じた。
使用機材はエアバスA380型機で、当時の搭乗者数は461名だったという。
旅客機が引き返した原因は、ビジネスクラスの座席に挟まっていたタブレット端末であった。
ルフトハンザ航空の広報担当者は「問題のタブレットは座席の可動によって既に目に見えるほど変形していた」と説明した。挟まっていたのはiPadだったと伝えられている。
一見すると大きな問題には思えないが、実際には航空安全に深刻なリスクをもたらす可能性があるという。その主な理由は、タブレットに搭載されているリチウムイオンバッテリーの存在だ。
ルフトハンザの広報担当者は「(タブレットの)過熱の可能性に関する潜在的リスクを排除するため、引き返すことを決定した」と説明した。今回の判断は、運航乗務員と航空交通管制の協議のもとで下され、安全を最優先とする原則に基づいたものだという。
タブレットやノートパソコンに一般的に使用されるリチウムイオンバッテリーは、破損すると連鎖的に過熱が進行する「熱暴走」現象を引き起こす危険性がある。特に、密閉された航空機内では、深刻な火災に発展するリスクが高まる。
ボストン空港に着陸後、ルフトハンザの技術チームがただちに機内に乗り込み、座席に挟まったタブレットを安全に取り出して点検を実施したという。その他のトラブルがないことを確認したうえでフライトは再開され、翌日、目的地であるミュンヘン空港に無事到着したと伝えられた。当初予定されていた約11時間のフライトは、最終的に3時間遅れでの到着となったという。