
中国のある火鍋店の店主が、料理の調味料として麻薬成分を含む「ケシの実(ケシ殻)」を使用していたことが発覚し、ネット上で大きな波紋を呼んでいる。
今月27日、中国メディア「瀟湘晨報(シャオシャンモーニングニュース)」によると、湖北省興山県人民法院は、有毒有害な食品を生産・販売した罪で起訴された火鍋店の経営者・李某被告に対し、懲役6か月・執行猶予1年の判決を下した。
また、販売額の10倍に相当する懲罰的損害賠償の支払いが命じられたほか、李被告は今後一切、食品の生産・販売業に従事することが禁じられた。
事件が発覚したのは2023年3月、湖北省宜昌市の公安当局と市場監督管理局が地域の飲食店を対象に実施した食品安全検査の際だった。李被告の火鍋店から出た食品廃棄物から、麻薬成分であるモルヒネが検出されたのである。
調査に乗り出した当局は、店内の厨房で透明な容器に入った不審な粉末を発見した。李被告は「自家製のスパイスで、八角や草果などが入っている」と説明したが、現場で実施された簡易検査でモルヒネの陽性反応が出た。
その後、専門機関による詳細な分析で、モルヒネのほかコデイン、テバイン、ナルコチンといったアヘン系成分が検出された。
李被告は2023年2月頃から、ケシの実を粉砕し、スパイスと混ぜて火鍋のスープに使用していたとされている。
取り調べに対し李被告は、「火鍋にケシを混ぜると風味が良くなり、客を引きつけられると考えた。味を良くして商売を伸ばしたかった」と供述している。また、「粉末にすればバレないと思った」とも述べており、意図的な使用だったことが明らかになった。
中国ではケシの実から抽出されるアヘンが、モルヒネやヘロイン、コデインなどの中毒性の高い麻薬の原料となるため、厳格に規制されている。しかし、依然として国内の一部飲食店では、風味付けのために違法にケシを使用する例が後を絶たない。
香港「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」によると、昨年4月にも、貴州省で火鍋のスパイスとして使うためにケシの木900本を栽培していた女性が摘発され、懲役6か月・執行猶予1年、罰金3000元(約6万円)の判決を受けたという。