オーストラリアのビクトリア州、野生のコアラ約700頭の安楽死を決定
オーストラリア・ビクトリア州政府は最近、航空機を使用して約700頭の野生コアラを安楽死させた。この措置は、オーストラリアの国立公園「バッジ・ビム」で発生した大規模な火災によりコアラたちが餌を失い苦しんでいる状況に対処するためのものだ。
4月25日(現地時間)、海外メディア「ガーディアン」の報道によると、今回の決定はコアラの主要な餌であるユーカリの群落がほぼ全滅したことを受けて下されたという。

バッジ・ビムでは今年3月の火災で約2,200ヘクタールの面積が焼失した。これによりコアラたちは深刻な生存の危機に陥っていた。
ビクトリア州の野生動物保護団体「ワイルドライフ・ビクトリア(Wildlife Victoria)」のリサ・パルマ代表は「山火事は野生動物に甚大な苦痛と死をもたらした」とし、「重傷を負った動物たちにとって最も慈悲深い行為は安楽死だった」と説明した。
航空機を使用した射殺方法についてビクトリア州政府は、バッジ・ビムの険しい地形とコアラが生息する辺境地そして火災後の樹木の安全性を考慮したと説明した。
ビクトリア州の生物多様性の責任者であるジェームス・トッド氏は「今回の決定は決して軽々しく下されたものではない」とし、「状況の悪化を放置することはできなかった」と述べた。
さらに彼は「安楽死させたすべてのコアラは健康状態が極めて悪く、さらなる悪化が予想された」とし、「全てのコアラは個別に診断され、30メートル以内の距離から双眼鏡と光学機器を用いて安楽死の処置が行われた」と付け加えた。
しかし、この措置に対する批判の声も上がっている。20年にわたりコアラを研究してきた生態学者ロルフ・シュラグロス氏は「空中からの射撃が本当に効率的で正確なのか疑問だ」と批判し、「真の問題はコアラの生息地と在来植物の適切な管理ができていないことにある」と指摘した。