解任危機に陥っていた「ADOR」ミン・ヒジン代表だが、彼女が提起した臨時株主総会議決権行使禁止の申請を裁判所が認め、HYBEが考えていたミン・ヒジン代表の解任計画に狂いが生じている。
だが、ミン・ヒジン代表側も今回は危機回避に成功したが、今後の展望には暗雲が立ち込めており、崖っぷちの状況から完全にぬけ出したとはいえない。
ソウル中央地裁民事合議50部は5月30日、ミン・ヒジンADOR代表が提起したHYBEに対する臨時株主総会議決権行使禁止仮処分訴訟で、「HYBEが主張する解任理由や辞任理由は十分に証明されていない」として仮処分を認める判断を下した。
裁判所は「ミン・ヒジン代表の行為がHYBEに対する背信的な行為になり得る可能性はあるが、ADORに対する背信行為とするのは難しい」として、仮処分を認める判断を下したと明らかにした。
また、裁判所はHYBEが議決権行使禁止仮処分を犯した場合には、ミン・ヒジン代表に対し、200億ウォン(約225億円)を賠償金として支払わなければならないという内容も判断に含めた。
これにより、ミン・ヒジン代表は5月31日に開かれるADORの臨時株主総会で解任されないことが決定した。しかし、HYBEがADORの現取締役を解任する可能性は高いだろう。すでに新たなADORの経営陣としてHYBEの取締役であるキム・ジュヨンCHRO(最高人事責任者)、イ・ジェサンCSO(最高戦略責任者)、イ・ギョンジュンCFO(最高財務責任者)などの名前が挙がっている。
HYBE側は「ADORの登記上の代表取締役はまだ決まっていない」としながらも、「取締役候補3人の役割と責任範囲、組織の安定化と支援策などは決まり次第、すぐに公開する計画だ」と明らかにした。
HYBEが今回の臨時株主総会でミン・ヒジン代表を解任しなくても、ADORの経営陣を新たに擁立し、経営陣の交代を推進する場合、HYBEは3対1の議決権でミン・ヒジン代表に対し、取締役会を掌握することができる。
これに関連し、ミン・ヒジン代表側の代理人である法務法人世宗(セジョン)は公式発表を通じ、「ミン・ヒジン代表に取締役解任の理由がない限り、ミン・ヒジン代表側の現取締役2人にも解任理由がない」とし、「HYBEが上記の取締役を解任する場合、これは裁判所の決定を尊重せず、正当な理由なく解任することだ」と主張した。
裁判所は今回ミン・ヒジン代表の手をとったが、法廷闘争は当分の間続く見込みだ。HYBEは5月25日にソウル龍山(ヨンサン)警察署にミン代表とシン・ドンフン副代表に対する業務上の背任の疑いで告訴状を提出し、その捜査が進行中だ。
警察は最近、HYBE側の関係者を呼び出し、30日にも再度、HYBE側の関係者を呼び出して、告訴人取り調べを終えた。