韓国の延世大学医学部と高麗大学医学部の共同研究チームは5日、統合失調症の女性患者において、健常女性と比較して乳がん発症リスクが高いとする研究結果を発表した。特に40~64歳の年齢層でリスクが上昇することが判明し、閉経期前後の女性患者への注意深い経過観察が求められる。
研究チームは2007年から2018年までの国民健康保険公団のデータベースを分析。18歳から80歳までの統合失調症の女性約22万人、他の精神疾患を有する女性22万人、精神疾患のない女性45万人の診療記録を調査した。
調査の結果、統合失調症患者群の乳がん発症リスクは、精神疾患のない群と比較して1.26倍、他の精神疾患を持つ群と比較しても1.07倍高いことが判明。また、抗精神病薬を4年以上服用した場合、6カ月未満の服用と比べて乳がん発症リスクが1.36倍に増加することも明らかとなった。特に40~64歳の年齢層では乳がん発症リスクが1.36倍に上昇する一方、40歳未満および64歳以上では有意な差は認められなかった。
この研究により、統合失調症の女性患者、特に中年層で乳がんリスクが上昇する可能性が示された。
延世大学医学部予防医学教室のチョン・ソンジェ教授は「本研究は統合失調症の女性患者における乳がん早期発見と予防の重要性を示す重要なエビデンスであり、特に閉経期前後の女性患者への定期的な乳がん検診が不可欠だ」と強調した。
また、高麗大学医学部精神健康医学教室のチョ・チョルヒョン教授は「抗精神病薬の長期使用が避けられない患者には、乳がん発症リスクを考慮した個別化された薬剤選択と定期的なモニタリングが必要となる。本研究を基に、統合失調症患者の乳がん予防を目的とした診療ガイドラインの策定と、抗精神病薬の長期使用に伴うリスクを最小化するための追加研究を進めていく」と述べた。