過度の飲酒が勃起不全や早漏の原因
最近、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、性行為に関する問題を抱える人々に対して「ワインを飲んでから関係を持て」と助言する医師がいることを報じた。しかし、この助言は、酒と性行為の相互作用についての理解が不十分である可能性があると指摘されている。
多くの人々は、性行為の前に酒を飲むことで、性的緊張を解消したり、早くオーガズムに達することができると考えている。しかし、専門家はこれが誤解である可能性が高いと警告している。
NYTによると、性心理学者のカタリナ・ロシン博士は、「多くの人が、酒をロマンティックな関係において不可欠な要素と捉え、飲酒後に性行為を行うことで性的能力が向上し、快感が増すと考えている」と述べた。一方で、酒と性行為の関係は人々が思っているよも「はるかに複雑」と指摘している。
ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部の産婦人科教授、ローレン・ストレヒチ博士は、「アルコールと性行為の関連性に関する研究やデータは実際には多くない」と述べ、両者の相関関係を断定することは困難であると指摘した。ストレヒチ博士は、ラットを用いた実験結果から、少量の飲酒が性的興奮を高め、性行為への抵抗を減少させる可能性がある一方で、大量の飲酒はむしろ性的刺激を抑制し、オーガズムに達することを妨げると説明した。
この現象は、飲酒時に脳内で起こる特有のプロセスに関連している。酒を飲むと、快感を引き起こすドーパミンが放出されることが知られている。また、酒は化学伝達物質である「γ-アミノ酪酸(GABA)」の増加を促し、神経細胞間の刺激を抑制することで、緊張が和らぐ効果をもたらす。
フロリダ大学心理学科のノリ・ミンツ名誉教授は「GABAは性的行動への抵抗を低下させ、興奮を感じさせることがあるが、実際には中枢神経系を抑制する物質である」と説明した。これに関連し、ロシン博士は「アルコールは脳での性的興奮の進行を妨げ、オーガズムに重要な筋肉の収縮を調整する作用がある」と述べた。さらに、「アルコールは初めは性的緊張を和らげるが、過剰に摂取すると強い快感や満足のいくオーガズムに至るのを妨げる」と付け加えた。
専門家たちは、慢性的な飲酒が男性の勃起不全や早漏と関連しているほか、女性においては性的反応の遅延、性欲低下、オーガズム不全といった性機能障害を引き起こす可能性があると指摘している。