タバコ1本を吸うたびに、期待寿命が最大22分短くなるという研究結果が発表された。
英紙「ガーディアン」によると、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは保健省の依頼を受け、最新の医療データを基にタバコの有害性に関する評価を行った。その結果、タバコ1本につき、男性では約17分、女性では約22分の寿命が短縮されることが明らかになった。
2000年にブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された研究では、喫煙者がタバコ1本を吸うたびに寿命が11分短くなるとされていた。しかし今回の推定値は、従来の約2倍の影響を示している。例えば、1日10本(半箱)喫煙する人が元日から8日間禁煙すれば、1日分の寿命を取り戻せる計算になり、1年では50日分の寿命を失わずに済むという。
とはいえ、禁煙が必ずしも長寿を保証するわけではない。喫煙者の中には長生きする人もいる。しかし、研究チームは深刻なケースでは、40代といった比較的若い年齢で喫煙関連疾患による死亡例も少なくないと警鐘を鳴らしている。
研究を主導したサラ・ジャクソン博士は「喫煙が健康に有害であることは広く知られているが、その影響を過小評価している人が多い」と指摘。「喫煙は主に中年期の比較的健康な時期を蝕み、健康悪化のタイミングを早める。60歳の喫煙者は70歳の非喫煙者と同程度の健康状態になる」と説明した。
研究チームは、喫煙者が健康を長期間維持し、寿命の短縮を防ぐためには、完全な禁煙が必要であり「安全な喫煙量など存在しない」と結論付けている。