カロリー摂取量を減らすことで寿命が延びる可能性があるという研究結果が発表された。ただし、無理に摂取量を減らすと健康に悪影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要だ。それでは、具体的にどの程度減らせば良いのだろうか。
中国の福州大学と北京大学の研究チームは、先月18日に科学誌「ネイチャー」でこの研究結果を発表した。この研究では、動物実験を通じてカロリー制限が寿命延長に与える影響を調査した。
研究チームは線虫、ショウジョウバエ、マウスなど複数の動物にカロリー制限を行い、その結果AMPKというタンパク質が活性化し、寿命が延びることを発見した。
特にマウスを対象とした実験では、カロリー摂取を減らした際に増加する200種類以上の化合物を分析した結果、脂肪の消化を助けるリトコール酸という化合物が確認された。
さらに、研究チームはリトコール酸を線虫、ショウジョウバエ、マウスに投与したところ、摂取したグループが摂取しなかったグループよりも長寿であることを確認した。リトコール酸を摂取しなかったマウスでは、筋力や筋肉の組成などに老化が進んでいることが観察された。
研究チームは「リトコール酸を摂取していないマウスは握力や筋肉組成など多くの面で老化が加速した」とし、「日本の長寿地域に住む100歳以上の高齢者の血液からも高濃度のリトコール酸が検出された」と述べている。
一方で、単にカロリー摂取量を減らすだけでは健康を維持するのが難しい。エネルギーが不足すると骨粗鬆症や栄養失調など、深刻な健康問題が発生する可能性があるためだ。
一般的に、カロリー摂取量を通常より20～30%減らすことが推奨される。もしカロリー計算が難しい場合、2食分の量を3食に分けて食べるのも有効な方法である。
例えば、40代の男性の場合、1日の推奨カロリー摂取量である2,300～2,500kcalを3食に分けて摂取する代わりに、2食分のみで摂取する場合は約1,600kcalとなる。ここに間食を追加することで、合計1,610～1,750kcalとなり、適切なカロリー制限食となる。
食事量を減らしても、必要なカロリーと栄養素をしっかり摂取することが重要である。基礎代謝量を計算し、自分に合った摂取量を決定するのが良い。簡単な計算方法としては、体重（kg）に男性は1.0、女性は0.9を掛け、それに24を掛けた値を基準とする。
さらに、食事中にゆっくりと咀嚼することで自然にカロリー摂取を抑えることができる。満腹感を感じるのは食後約20分かかるため、食べる速度を遅くすることが効果的だ。例えば、スプーンではなく箸を使うことで食事のペースを調整するのも一つの手段である。
