電子レンジは食品を短時間で簡単に温められる便利な調理器具だが、加熱に適さない食品もある。電子レンジで加熱することにより栄養素が失われたり、有害な物質にさらされるリスクがあるため、注意が必要だ。また、中には発火や爆発の危険がある食品も存在する。
ブロッコリーやピーマンなどのビタミンCを多く含む野菜は電子レンジで加熱するのを避けた方が良い。ビタミンCは熱に弱く、加熱することで分解されてしまうため、生のまま摂取するのが最も効果的だ。ビタミンCは電子レンジだけでなく、ガスコンロやオーブンなど、あらゆる加熱調理器具でも分解が進む。一方で、ナスやワラビのような食材は加熱する方が栄養価が高まる場合もある。
食べ残した肉を電子レンジで再加熱すると、味が変わる恐れがある。特に調理済みの鶏肉は、脂肪が酸化して化学構造が変わり、電子レンジで加熱すると水分も蒸発してしまうため、味や食感が大きく損なわれる。ステーキなどの牛肉も同様で、再加熱することで硬くなり、本来の風味や柔らかさを失ってします。冷凍肉の解凍に電子レンジを使うのも注意が必要だ。冷凍肉を解凍する場合には、冷蔵庫で低温解凍する方が安全だ。
出前料理やコンビニの惣菜などを、使い捨て容器のまま電子レンジで温めるのは避けるべきだ。ポリスチレン(PS)やポリエチレンテレフタレート(PET)製の容器は加熱により有害物質が溶出する恐れがある。たとえ電子レンジ対応と表示されている容器でも、過度な加熱は危険だ。700Wなら3分、1000Wなら2分30秒を超えないように注意しよう。
電子レンジを使ってカップ麺を調理する場合も、注意が必要だ。まず、カップ麺の容器が発泡スチロール製であれば、電子レンジ内で溶けて化学物質がスープに溶け込む可能性がある。また、カップ麺の蓋や容器にアルミ箔が使われている場合、電子レンジのマイクロ波を反射し、発火する恐れがある。電子レンジ対応と表示されたカップ麺容器であっても、陶器の器に移してから加熱する方がより安全だ。
卵は電子レンジで加熱してはいけない代表的な食品だ。電子レンジで卵を加熱すると、内部の圧力が急激に上昇し、破裂の危険がある。電子レンジのマイクロ波は金属以外のほとんどの物質を透過するが、水分には吸収される。このため、卵内部の水分が急速に気化して膨張し、その圧力に耐えきれずに「ポン」と破裂することがある。この爆発は、電子レンジ内だけでなく、加熱後に取り出した際にも起こる可能性があるため、特に注意が必要だ。