イタリアのホテルやレストラン、観光名所に対する不満をオンライン上のレビューに残すことが、困難になりそうだ。イタリア議会が、自国の観光施設に対する否定的な偽レビューを取り締まる法案の可決を目指しているためだ。
15日付の英紙「ガーディアン」によると、イタリア議会はGoogleマップやトリップアドバイザーなどの旅行レビューサイトに投稿する人々に、実際にイタリアの施設を訪れたことを証明させる法案を検討中だという。
法案の草案によれば、レビュー投稿者は投稿後15日以内に当該施設への訪問を証明し、有効な身分証明書を提示しなければならない。これらの条件を満たさない場合、ホテルやレストランは低評価のレビューの削除を要求することができる。さらに、レビューで指摘された問題が明確に解決された場合は、2年後に低評価レビューの削除を要請することが可能となる。一方、好意的なレビューについては、当該施設から金銭や割引などの特典を受け取ったことが判明した場合、処罰の対象となる。
法案を提出したダニエラ・サンタンチェ観光大臣は「本法案は、ホテルやレストランの予約を左右する重要な要素であるレビューの信頼性を保証するものだ」とし、「ひいてはイタリアの観光業における雇用を守り、観光の質を高めることにつながる」と主張している。
イタリア企業省は、偽のレビューや操作されたレビューが宿泊・観光部門の企業売上高の6%から30%に影響を与えたとする調査結果を法案の根拠として示した。観光業界関係者は法案の導入を歓迎している。消費者団体「フェデルコンスマトーリ(Federconsumatori)」の会長は「偽レビューは企業の売上に大きな影響を与え、消費者に誤った情報を提供する可能性がある」とし、「議会での審議を通じてこの問題が解決されると確信している」と述べた。
ただし、レビューの真偽をどのように、誰が判断するかについては議論の余地がありそうだ。イタリア観光省は、レビュー監視のガイドラインはまだ確定していないことを明らかにした。