寒く乾燥する季節には、唇の荒れやひび割れが目立つようになる。しかし、このような時には、剥がれた角質を無理に取ったり、唇に唾液をつけるのは避けるべきである。こうした行為は「剥脱性口唇炎」を引き起こす恐れがあるからだ。
唇が荒れる主な原因は乾燥だ。唇には毛穴がなく、汗や皮脂を分泌できないため、自然な保湿膜が形成されない。また、唇周りの皮膚は非常に薄くデリケートであるため、乾燥によるダメージを受けやすい。乾燥した唇に唾液をつけて潤そうとする人もいるが、これは逆効果である。唾液には油分が含まれていないため、すぐに蒸発し、その際に唇の水分まで奪われてしまう。
唇の乾燥が進行すると、「剥脱性口唇炎」に発展する可能性がある。この症状は、傷ついた唇に細菌やカンジダ菌が侵入し、二次感染を繰り返すことで引き起こされる。この症状が現れると、角質が繰り返し発生し、下唇から徐々に広がっていく。この状態で唾液をつけると、角質を剥がす際にできた傷口から細菌や真菌が侵入し、悪化する可能性がある。
剥脱性口唇炎を防ぐためには唇に唾液をつけたり、角質を無理に剥がしたりしないべきだ。唇の乾燥が気になる場合は、リップクリームやワセリンを使用するのが良い。リップクリームを選ぶ際には、ビタミンEや保湿成分が含まれているものを選び、香料や甘味料が添加された製品は避けるべきだ。
リップティントは精製水を主成分とした液体製品であり、保湿効果はほとんどない。さらに、色素を定着させる成分が蒸発する際に唇の水分まで奪われるため、乾燥を悪化させることがある。リップティントを使用する場合は、しっかりと落とすことが重要だ。蒸しタオルで唇を温めて角質を柔らかくした後、専用のリムーバーで落とすとよい。また、リップティントを塗る前後にリップクリームを塗ることで、乾燥を防ぐことができる。
もしも、剥脱性口唇炎が発症した場合には、早めに医療機関を受診し、局所用ステロイド剤を使用するのが有効である。唇の角質が気になるときは、洗顔後に綿棒で唇のシワに沿って優しくこすると、無理なく取り除くことができる。角質を除去する際は、ワセリンを塗ってからラップで覆い、しばらく時間を置いた後、綿棒で優しく拭き取ると効果的だ。
