高齢化社会の進展に伴い、退行性脳疾患であるパーキンソン病が高齢者の健康における重要なリスク因子として浮上している。パーキンソン病は、神経伝達物質の一つであるドーパミンを分泌する神経細胞が徐々に失われることによって引き起こされる疾患だ。認知症に次いで二番目に多い退行性脳疾患であり、早期の予防と適切な管理が求められる。
パーキンソン病の主な症状と前兆
パーキンソン病の初期症状としては、手足の震え（振戦）、体の硬直（筋強剛）、動作の遅れ（無動）、歩行障害、バランス障害などが挙げられる。患者は歩行が遅くなり、動作がぎこちなくなり、言葉が出にくくなったり、表情が乏しくなることもある。
これらの症状が現れる数年前からは、非運動症状として前兆が現れることがある。代表的な前兆症状には、レム睡眠行動障害、嗅覚の喪失、便秘、排尿障害、起立性低血圧、うつ症状などがある。特に、レム睡眠行動障害が見られる患者の90%以上は、長期的に見ると20年後にパーキンソン病またはパーキンソン症候群などの関連疾患を発症する可能性が高いとされており、パーキンソン病と診断された患者の30～50%は、レム睡眠行動障害を伴っている。これらの前兆症状はパーキンソン病の先行因子である可能性があるが、単独でパーキンソン病を診断することはできず、さらなる検査が必要となる。
物理療法が運動量を増やす重要な要素
パーキンソン病の治療は、薬を使って症状を管理することから始まることが多い。しかし、目指すべきは完全な治癒ではなく、症状を和らげ、患者が日常生活を自立して行えるようにサポートすることだ。現時点では、病気の進行を完全に止める治療法はないものの、適切な管理によって健やかな生活を維持することは可能である。
薬物療法を始める際には、患者の年齢や職業、社会活動の程度、病状の重さ、不快感を伴う症状、薬物服用歴など、さまざまな要因を考慮して個別に進めていく必要がある。特に長期的な治療計画が重要であり、患者の状態や状況に応じて薬物の種類や用量は継続的に調整されなければならない。パーキンソン病は生涯にわたって薬を服用し続ける病気であるため、専門医師による継続的な診療とサポートが不可欠だ。
パーキンソン病患者は筋肉痛や腰痛、関節の硬直などを訴えることが多く、ひどい場合には関節が固まり、筋力の低下により動作が大きく制限されることもある。また、薬物療法中にも筋肉の異常や痛みが発生することがある。これらの症状を和らげるためには、理学療法が並行されるべきであり、理学療法は硬くなった筋肉や関節をほぐし、運動量を増やすのに効果的だ。
姿勢矯正や歩行訓練、言語療法も患者の機能回復や生活の質向上に寄与する。パーキンソン病患者は自立した生活を維持し、病気の進行を遅らせるために、定期的な運動を行うことが求められる。特に水泳やウォーキング、体操などは非常に有効だ。
薬物療法に反応しなくなったり、副作用が強くて薬の服用が困難になった場合、専門医は患者の状態を評価し、脳深部刺激療法などの外科的治療を検討することがある。手術の選択は、患者の年齢、症状の重さ、薬物への反応、認知症やうつ症状などの併存症を総合的に評価して決定される。
人生の同伴者として受け入れる姿勢が重要
パーキンソン病が発症した場合、その後の人生を共に歩む「友」として受け入れることが大切だ。現在の医学技術では完全にパーキンソン病を治すことは難しいが、疾患への向き合い方次第で、生活の質や予後に大きな違いが生じることがある。一部の患者は病気に振り回され、不快感に悩まされることがあるが、病気を友人のように受け入れて、前向きに管理する患者はより良い生活を送ることができる。
パーキンソン病は風邪のように簡単に治る病気ではない。
国民健康保険一山病院では「生涯にわたる薬物管理と定期的な診察が必要なため、必ずパーキンソン病専門医との連携が重要だ」とし、「パーキンソン病やパーキンソン症候群の診断、薬物治療、重症患者のリハビリテーションや精神的症状への対応に、専門的かつ体系的な医療サービスを提供している」と語っている。
