イランを支持する「抵抗の軸」の一員であるイエメンのフーシ派武装組織が、昨年から紅海を通過する外国商船を攻撃していたとの報道がある。このフーシ派は、ロシアの衛星データを利用し商船を追跡していたとされる。ウクライナに集中していた西側の関心をフーシ派のおかげで分散させることができたロシアは、この疑惑について沈黙を守っている。
米国「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」は、24日(現地時間)に発表した記事で、2人の欧州の防衛関係者と1人の情報筋を引用し、フーシ派武装組織が今年初めにロシアの衛星データを使って商船を追跡したと報じた。
この衛星データは、イランの革命防衛隊のイエメン派遣組織を通じて提供されたとされている。ロシア政府の報道官はWSJの説明要求に対して反応せず、フーシ派武装組織の報道官も回答を拒否した。
抵抗の軸の一員としてイランの支援を受けるフーシ派武装組織は、昨年10月7日にパレスチナ武装勢力ハマスがイスラエルを攻撃した際、直ちにこれに同調した。フーシ派はスエズ運河や紅海を通過するイスラエル関連の船舶を攻撃すると主張したが、米国などの西側船舶を無差別に攻撃した。フーシ派武装組織は今月までに少なくとも100隻の船舶を攻撃し、2隻を破壊し、1隻を拿捕した。
スエズ運河と接続する紅海は、毎日海上輸送される石油の10分の1が通過する重要な物流拠点である。主要な海運会社は、フーシ派武装組織の襲撃を避けるため、アフリカ大陸を迂回するなどして航路を変更した。英国の海洋情報会社ウィンドワードによると、今年8月に紅海の入り口を通過したタンカーの数は、昨年10月に比べて77%減少した。
コストと時間の負担に耐えられなかった商船は、フーシ派武装組織の脅威にもかかわらず、紅海通過を強行した。これらの船舶は、危険水域に入る際に無線通信を切断する方法で位置を隠した。WSJは、通信を切った商船を追跡するためには高品質の衛星画像が必要であり、一般的な商業衛星では通信遅延などの理由から追跡が困難であると説明した。
ドイツのシンクタンクであるカーネギー・ロシア・ユーラシアセンターのアレクサンダー・ガブエフ所長は「ロシアにとって、ウクライナ以外の紛争は歓迎すべきニュースであり、これにより国際社会の関心をウクライナから逸らせる」と述べた。
米国はフーシ派武装組織の襲撃が続く中、昨年12月から多国籍海軍を組織してフーシ派武装組織を攻撃している。米国は昨年4月時点で、フーシ派武装組織の無人機(ドローン)とミサイルから商船を保護するために、約10億ドル(約1517億5197万円)規模の弾薬を消費した。
WSJによると、米国政府はロシアがフーシ派武装組織に対艦または対空ミサイルを供給し、米軍を脅かす状況を懸念している。現在のところ、ロシアがイエメンに武器を送った兆候は確認されていない。WSJは今月初めの報道で、2年前の囚人交換で米国の刑務所から解放されたロシアの武器商人ビクトル・バウトが、フーシ派武装組織に約1000万ドル(約15億1769万円)相当の自動小銃の販売を仲介しようとしたと主張している。