幼い子どもを肩に担いだ少女が近づいてきた。土埃にまみれの素足、乱れた髪、極度の疲労の様子が見て取れる。
撮影者が少女に子どもを抱えている理由を尋ねると、「弟が車にはねられた」と答えた。弟をどこへ連れて行くのかという問いかけに「治療を受けに向かっている」と返した。
さらに、疲労は大丈夫かと声をかけると、少女は冷静に「疲れている。もう1時間も抱えているので、これ以上歩けない」と語った。
この光景は、イスラエルとハマスの戦闘により廃墟と化したガザ地区で撮影されたものだ。現地で出会った特派員のアラ・ハムーダ氏は、弟を抱えて2キロメートル以上歩き、疲れ切った少女を車に乗せ、治療可能な施設まで搬送したという。
これまでにガザ地区では4万人以上が犠牲となっており、うち女性が6000人以上、子どもが1万1000人以上に上るとされる。