「オマハの賢人」ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイが、今年7-9月期にアップル保有株を25%追加売却したことが、2日(米国時間)明らかになった。4-6月期の50%売却に続き、再び大規模な売却を実施。同社は昨年末からアップル株の保有比率を引き下げている。
また、自社株買いも見送った結果、バークシャーの手元資金は過去最高となる3000億ドル(約45兆6000億円)を突破。一方、7-9月期の税引後営業利益は前年同期比6%減となった。
現在、同社の株式ポートフォリオの70%は、アップル、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、コカ・コーラ、シェブロンなど5社に集中している。
■アップル株を25%削減
バークシャーは、この日発表した7-9月期決算と併せて開示した資料で、アップル株1億株を売却したことが判明。7-9月期末時点の保有株式数は3億株まで減少した。これにより、同社の保有アップル株は、年初の9億500万株から3分の1程度まで大幅に縮小した。
バークシャーはこれまでアップル投資で巨額の利益を計上してきた。
アップルの11月1日終値は222.91ドル(約3万4000円)だが、バークシャーの平均取得価格は1株当たり35ドル(約5300円)にとどまる。同社は主に2016~2018年にアップル株を集中的に買い増していた。バフェット氏は、株式ポートフォリオにおけるアップルの比率が過度に高いと判断し、保有量を段階的に引き下げたとみられる。
年初には約45%だったアップル株の比率は、7-9月期末には25%未満に低下。それでも、依然として最大の投資銘柄である。9月末時点で、バークシャーの保有するアップル株の評価額は約699億ドル(約10兆6400億円)で、2位のBofA株の保有評価額約317億ドル(約4兆8300億円)を大きく上回っている。
■手元資金が過去最高に
バークシャーは、7-9月期に自社株買いも見送った。これはバフェット氏が株式市場を割高と判断したことを示唆している。アップルなどの保有株の一部売却と自社株買いの見送りにより、手元資金は過去最高の3252億ドル(約49兆5000億円)に達した。6月末時点の2769億ドル(約42兆1500億円)から17.4%急増している。アップル株の25%売却に加え、7-9月期中にBofA株も100億ドル(約1兆5200億円)超を売却した。
バークシャーが7-9月期に売却した株式の規模は361億ドル(約5兆5000億円)に上る。
一方、この日公表した7-9月期決算では、税引後営業利益が前年同期比6%減の101億ドル(約1兆5400億円)となった。自動車保険子会社のガイコや鉄道会社バーリントン・ノーザン・サンタフェ(BNSF)など、主力事業の収益が前年比6%減少した。