米大統領選でドナルド・トランプ次期大統領が勝利し大統領就任を控える中、米国の女性たちが中絶薬を備蓄していると現地メディアが報道した。
11日(現地時間)、ワシントン・ポストは、中絶薬の主要供給業者の一つ、エイドアクセスが大統領選後の6日に1万件を超える注文を受けたと報じた。これは通常の1日平均約600件と比べ17倍増加した数値となる。
注目すべきは、まだ妊娠していない女性からの需要もあった点だ。遠隔医療で中絶薬を処方する非営利団体ジャスト・ザ・ピルは、6日から8日までの3日間で受けた125件の注文のうち22件が妊娠していない女性からのものだったとし、「事前備蓄の要請は稀」と語った。
中絶薬の購入情報を提供するウェブサイト「プランC」への訪問者も急増した。選挙前の1日当たりの訪問者数は約4,000人だったが、選挙後の水曜日には約8万2,200人と20倍以上に増加した。
さらに、米国の非営利団体プランド・ペアレントフッドは、6日にパイプカット手術の予約が前日比1,200%増、子宮内避妊用具の挿入の予約が760%以上増加したと発表したように、避妊手術の需要も増加している。
これは、過去に「中絶反対」政策を推進してきたトランプ次期大統領の就任により中絶がより困難になるとの予測によるものと見られる。実際、第1次トランプ政権の2022年6月、保守派で構成された連邦最高裁は「ドブス対ジャクソン女性健康機構事件」の判決で中絶禁止を合憲とした経緯がある。
全米妊娠中絶連合(NAF)のブリトニー会長は「トランプ政権の具体的な措置は不明だが、中絶が極めて困難になると予想し、人々が事前に準備している」と今回の事態を説明した。