2年以上続くウクライナ侵攻で人員不足に直面しているロシアが、北朝鮮に続きイエメンからも兵士を調達しているとの報道が出た。イエメンの兵士は、フーシ反政府勢力を通じてロシアに渡り、高額な給与とロシア国籍を約束され、最前線に送られている。
24日(現地時間)、英紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」は、関係者の話として、ロシアが数百人のイエメン人をウクライナ戦線に投入するために募集したと報じた。報道によると、内戦が続くイエメンから来た人々は、フーシ派と関連する企業の支援を受けてロシアに到着し、彼らには高額な給与と雇用、さらにロシア国籍が約束されたという。
2022年2月にウクライナに侵攻したロシアは、同年9月に30万人の予備役動員令を発したが、その後の追加動員は控えている。ウクライナ戦争の長期化で人的損失が深刻化しているものの、国内の反戦世論を刺激しないよう強制徴集を避けている。北大西洋条約機構(NATO)のマルク・リュッテ事務総長事務総長は先月28日、「ロシア軍で約60万人にのぼる死傷者が発生し、人手不足に陥っている中、ウラジミール・プーチン大統領がさらに窮地に追い込まれている証拠だ」と指摘。また、「FT」は、北朝鮮が先月、約1万2000人の兵力をロシアに派遣したと伝え、さらにネパールやインド出身の傭兵もウクライナ軍と交戦していることを報じている。
米国のティム・レンダーキング・イエメン特使は、ロシアが詳細を明かしていないものの、フーシ派との接触を強化し、武器移転について協議していると述べた。イランと共に米国およびイスラエルと敵対するフーシ派は、同じく米国を敵視するロシアとの関係を深めている。レンダーキング特使は、「協議されている武器の種類は非常に懸念すべきもので、フーシ派が紅海やその周辺の船舶をより効果的に攻撃できるようになる恐れがある」と警告した。
イエメンのシンクタンク「サナア戦略研究センター」のマジド・アルマダジ所長は、ロシアが「紅海や中東地域において、米国に敵対的な組織に関心を持っている」と分析した。同所長は、フーシ派がロシアとの関係構築を目的に傭兵を組織したと指摘した。フーシ派の政治局員モハメド・アル・ブハイティは今月初め、ロシアのニュースサイト「メドゥーザ」に対し、ロシア指導部と政治、経済、軍事を含むあらゆる分野で関係強化に向けて連絡を取り合っていると述べた。
英国のシンクタンク・チャタムハウスのファレア・アル・ムスリミ中東・北アフリカ研究員は、ロシアに渡ったイエメン傭兵のほとんどが軍事訓練を受けていないと指摘した。同研究員は「ロシアは兵士を必要としており、フーシ派が確実に募兵を行っている。イエメンは極めて貧しい国であり、募兵が非常に容易だ」と説明した。
「フィナンシャル・タイムズ(FT)」によると、ロシアのイエメン人傭兵と接触した際、読むこともできない入隊契約書に署名したイエメン人もいるという。また、工場で働くことを期待してロシアに渡ったイエメン人が、実際には強制的に軍に徴用されたケースもあったと報じられている。