暗号資産(仮想通貨・コイン)の代表株であるビットコインが10万ドル(約1,515万円)を目前に足踏み状態の理由は、最近の急騰に伴う長期投資家の利益確定売りによるものだとの分析が出た。
ビットコイン価格の上昇基調が鈍化しているうち、市場データは長期保有者の売却活動が増加していることを示している。
27日(現地時間)、暗号資産市場のマーケットメーカーであるウィンターミュート(Wintermute)が、現物ビットコインに投資する上場投資信託(ETF)から25日の1日で4億3,800万ドル(約663億円)が流出されたと報告した。これは5日間続いた資金流入が止まったことを意味し、投資家がビットコイン価格が高値圏に達したと判断して売却に動いたことを示唆している。
市場分析会社グラスノード(Glassnode)のブロックチェーンデータもこの動きを裏付けている。26日を基点に、ビットコインを155日以上保有している長期投資家の月間純ポジションが36万6,000件以上減少した。これは4月以来最大の売却圧力であり、長期保有者が市場で利益確定売りを始めたことを示している。
具体的には、ビットコインを6か月から12か月間保有している投資家が売却活動を主導しており、彼らの平均購入価格は5万7,900ドル(約877万円)と推定されている。
グラスノードのアナリストは、これらの投資家が約60%の利益率を記録している可能性が高いとみており、この高い利益率が売却圧力の主な要因だと分析している。
暗号資産ウォレットプラットフォームであるユニティの最高執行責任者(COO)ジェームス・トレダーノ氏は、「過去1カ月間でビットコイン価格が2万5,000ドル(約378万円)以上上昇したため、投資家が自然に利益確定売りに動いた」と見ている。これは急激な上昇後の短期的な価格調整が避けられないことを示している。
このような価格調整は、市場の過熱を抑えつつ、さらなる上昇のための基盤を整える可能性があるため、肯定的に捉えられている。
フェアリード・ストラテジーズ(Fairlead Strategies)の創設者ケイティ・ストックトン氏は、技術的指標を根拠にビットコインが現在「消化段階」にあると述べた。これは既存の投資家が利益確定売りのために売却し、新たな資金が流入するまでに時間を要することを意味する。
ストックトン氏は、依然としてビットコインの中長期的な見通しは強勢だという意見をもっている。彼女は、ビットコインの価格調整が短期的な現象にとどまる可能性が高く、強い市場需要が再び上昇を牽引するだろうと予想している。