専門家は、ウクライナ戦に投入された北朝鮮軍1万人に対して、ロシア側から年間2億4,000万ドル(約359億6,028万円)を派兵費用として支払われ、この報酬のほとんどは、金正恩総書記の統治資金に流れ込むと予測している。
28日ソウルの小公洞(ソゴン洞)ロッテホテルで開かれた「朝鮮半島の国際情勢変化と我が国の安全保障法制改善の方向性」セミナーで、国防省次官を務めたシン・ボムチョル世宗研究所首席研究員がこの分析結果を発表した。シン氏は「北朝鮮軍の派兵報酬は月2,000ドル(約29万9,669円)と推定されている」とし、「通常、海外派兵の北朝鮮労働者は支払われる賃金の10%しか受け取ることができないとされており、兵士たちの給与も大半が北朝鮮当局に流れると考えられる」と主張した。
シン氏はまた「北朝鮮がロシアに弾薬やミサイルなどを輸出して得たとされる数億ドル、相当量の原油や食料支援などは北朝鮮経済に寄与するだろう」と述べ、「これらは金正恩体制の安定につながる」と分析した。さらに「北朝鮮軍のロシア派兵などで得られる外貨は、金正恩が住民に対する施しとして使える統治資金になると見られる」と付け加えた。
北朝鮮軍の脱走や亡命の可能性については「現時点で北朝鮮軍の脱走・亡命は確認されていない」とし、「ウクライナ当局と連携して心理戦を強化し、北朝鮮軍の脱走・亡命を促す必要がある」と述べた。シン氏は「経済的報酬以外にもロシアの軍事技術の対北朝鮮支援が行われる可能性があるため、綿密な監視が必要だ」と強く語った。また、北朝鮮の違法派兵や国軍の犠牲、金正恩体制の問題点などを伝えることで、波及効果の大きいウクライナ当局の心理戦を間接的に支援すべきだと提言した。なお、このセミナーは韓国国家戦略研究院(KRINS)、国家安全保障戦略研究院(INSS)、韓国刑事法務政策研究院、韓国安全保障刑事法学会の共同主催で開催された。