韓国放送通信審議委員会(以下、放送番組審議会)は、脱毛症や肥満男性を揶揄したとして物議を醸したKBSのバラエティ番組『社長の耳はロバの耳』に対し、法定制裁として「注意」を決定した。
放送番組審議会は12月2日、ソウル木洞の放送会館で全体会議を開き、昨年7月2日に放送された同番組の該当回について、関係者から意見陳述を聞いた後、制裁を決定した。
問題の回では、結婚紹介会社の代表が社員の外見を評価したり、男性会員の新規加入条件を紹介する際、特定のコメディアンや脱毛症の男性を揶揄したとして批判を浴びた。
放送では、代表が肥満の人物を「北の委員長似」と例え、脱毛のある人物について「頭の下があまりにも広々としている」と発言した。また、「男性の場合、高卒未満の学歴、身長167㎝以下、年収4,000万ウォン(約425万円)以下のうち2つ以上該当すれば紹介対象者が少なくなり、加入不可」、「背が高く学歴や職業が良くても脱毛が酷ければ加入が難しい」などの発言があり、これが字幕としても表示された。
金正洙(キム・ジョンス)放送審議委員は、「特定条件を満たさない男性を劣等な人間であるかのように描写した部分は、揶揄そのものだ」と指摘した。また、姜庚弼(カン・ギョンピル)委員は「表現過程が不適切で、放送前にフィルタリングされなかったのは問題」と述べた。
柳熙林(ユ・ヒリム)委員長も、「KBSは公共放送であり、国民の受信料で運営されているにもかかわらず、『禿げ頭はダメ』という脱毛に関する否定的認識を植え付けた」と批判した。「審議規定でも、学歴や身体的特徴、財力などを嘲笑の対象にすることを禁止しているのに、偏見を助長した」と問題視した。
これに対し、KBS側は「社長が部下の口を通じて自身の誤りを聞き反省するというのが番組の企画意図だ」とし、「今後の制作では十分に注意する」と述べた。
一方、放送番組審議会は、手話の揶揄が問題となったMBCドラマ『今かけている電話は』に関しても迅速に審議を行う方針を明らかにした。同作では、11月22日放送の第1話で、手話通訳士の主人公が山崩れニュースを伝える中で「山」の手話が繰り返し表示される事故が発生した。劇中でキャスターがこれを指を使った侮辱表現に例え、笑うシーンがあった。これに対し、聴覚障害者や手話の揶揄との批判が提起されている。