■ 下院、政府不信任案可決
バルニエ首相、就任90日で辞任
「7年間の混迷」マクロン大統領退陣要求も
マクロン大統領「残り2年の任期全うする」
国民向け演説で次期首相発表へ
フランス野党がミシェル・バルニエ首相への不信任に続き、エマニュエル・マクロン大統領の退陣も迫り、フランスの政局は混迷の度を深めている。昨年7月の総選挙敗北で窮地に立たされていたマクロン大統領が、再び危機に直面する形となった。野党の辞任要求を一蹴したマクロン大統領は、後任首相の人選に注力し、危機打開策を探ることになりそうだ。フランス国内の政治的混乱が深まる中、欧州全体も神経をとがらせている。
ユーロニュースは4日、フランス下院でバルニエ政権不信任案が可決された後、マクロン大統領の退陣を求める声が野党から高まっている。左派連合「新人民戦線(NFP)」所属の「不服従のフランス(LFI)」のマチルド・パノ党首は「この7年間、混乱を招いてきたのは我々ではなく、マクロンだ」とし、マクロン大統領の辞任を迫った。極右の「国民連合(RN)」のマリーヌ・ル・ペン党首は、バルニエ政権不信任について「フランス国民を守るための選択だった。他に選択肢はなかった」と述べた。
マクロン大統領は昨年7月の総選挙で敗北したにもかかわらず、第一党となったNFPの組閣を拒否し、4位に終わった共和党所属のバルニエを首相に任命した。マクロン大統領は総選挙の敗北後、左派連合のNFPと極右のRNを除外し、与党のルネサンス党や中道右派の共和党などと共和戦線を築く意向を示していた。当時、NFPは強く反発したが、RNが黙認したことでバルニエ政権の発足が可能となった。しかし、予算案を巡ってNFPはもちろん、RNまでもが反対に回り、政権が崩壊した。このため、次期首相の指名や政権構想が難航するとの見方が出ている。
NFPはマクロン大統領に対し「左派の首相を任命せよ」と圧力を強めている。この日、NFP所属の社会党のオリヴィエ・フォール党首はフランス2テレビに出演し、「我々は今、新たな出発をしなければならない。単に政府不信任で終わらせてはならない」と述べ、マクロン大統領に「左派首相の任命を求めるフランス国民の声に耳を傾けるべきだ」と要求した。
LFIのジャン=リュック・メランション党首もXで「マクロンはバルニエのような首相を3か月ごとに交代させても、残り3年は持ちこたえられないだろう」と警告した。バルニエ首相の時と同じ選択をすれば、再び政権を崩壊させることになると示唆した。
しかし、マクロン大統領は残り2年余りの任期を全うする意向を示し、正面突破の姿勢を明らかにしたため、与野党の対立は避けられない情勢だ。マクロン大統領は5日の国民向け演説で次期首相を発表する見通しだ。特にマクロン大統領は、バルニエ政権の崩壊に備えて予め後任首相の人選を進めていたとされる。
『フランス24』は、社会党のベルナール・カズヌーブ元首相、共和党出身のグザビエ・ベルトラン元労働相、ルネサンス所属のセバスチャン・ルコルニュ国防相を次期首相候補の3人に絞った。