ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がビットコインを含む暗号資産(仮想通貨)を新たな金融の選択肢として言及し、国際経済秩序に新たな論争の種を蒔いた。
プーチン大統領は現地時間4日、モスクワで開催された投資会議で西側諸国の制裁と凍結された外貨準備に触れ、暗号資産の可能性を提起した。これはロシアが西側からの経済制裁を回避し、金融の自立性を強化する戦略の一環とみられる。
プーチン大統領は西側諸国がロシアの外貨準備約3,000億ドル(約45兆375億円)を凍結した事例を挙げ、外貨保有の不安定性を強調した。
「簡単に失う可能性のある外貨準備をなぜ積み立てる必要があるのか」と述べ、既存の外貨中心の国際金融システムに疑問を投げかけた。
プーチン大統領は、こうした外貨凍結措置が米ドルの信頼性を損なっていると指摘し、暗号資産がその代替となり得ると示唆した。
「ビットコインを誰が禁じられるのか」と発言し、ビットコインの分散型の特性を強調した。
これは既存の中央銀行が管理する通貨システムとの違いを際立たせると同時に、暗号資産が国際金融制裁を回避する手段となり得ることを示唆したとみられる。
ビットコイン以外には電子決済システムを別の選択肢として言及し、従来の金融システムの代替可能性を示唆した。
プーチン大統領のこの発言は、ロシアが西側からの制裁を受け、暗号資産に対する姿勢を再考する過程から出たものだ。
ロシアは2022年に暗号資産を全面禁止したが、ウクライナ侵攻後に西側の厳しい経済制裁を受け、暗号資産とデジタル金融に注目し始めた。
ロシアは最近、デジタルルーブルの導入を準備しており、来年夏から本格的に実施する予定だ。デジタルルーブルはロシア中央銀行が発行するデジタル通貨で、国際決済における既存の金融システムへの依存度を下げ、独自の決済ネットワークを構築する試みの一環だ。