アメリカのジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は4日、次期トランプ政権が自身の権限を縮小する動きを試みている件について、その可能性は低いと発言した。
パウエル議長はこの日、ニューヨークで行われたイベントの対談で、トランプ次期大統領がFRBに「影の議長」を任命し、自身の任期終了前にレームダック状態にする可能性について「そのような計画が選択肢にあるとは思わない」と語った。さらに「FRBはあらゆる政権との間に制度的な関係を維持してきた」とし、「次期政権とも同様の一般的な制度的関係を保持することを全面的に期待している」と話した。
次期トランプ政権の財務長官に任命されたスコット・ベッセント氏は、次期FRB議長を早期に指名することで、パウエル議長を任期前に解任せずとも「影の議長」を通じて金融政策の方向性を示し、市場に影響を与えることが可能だと述べていた。
金利政策については、金利引き下げが時間をかけて徐々に進むことを示唆した。FRBは今月17〜18日に今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)会合を控えており、前回9月のFOMC会合で異例の0.5%ポイントの金利引き下げからサイクルが始まった。
先月6〜7日のFOMC会合でも0.25%ポイントの追加金利引き下げを決定し、基準金利を4.50〜4.75%に引き下げた。金利引き下げのペース調整が示唆されているにもかかわらず、金融市場では18日に0.25%ポイントの追加引き下げをほぼ確定視していると述べた。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループのフェドウォッチによれば、金利先物投資家はFRBが0.25%ポイントの追加引き下げを行い、基準金利を4.25〜4.50%に引き下げる確率を75.5%と見ているという。
また、来年の見通しとしては、従来の3回の追加引き下げから後退し、現在は0.25%ポイントずつの引き下げが2回行われ、合計0.5%ポイント引き下げられると予測されている。
パウエル議長は、アメリカ経済が堅調でFRBがすぐに景気刺激策に取り組む必要がないため、その分中立的な金利を見つける上でより慎重になれると述べた。
専門家は、成長を促進するわけでもなく、抑制するわけでもない適正な金利水準として、中立金利を4%程度と見ている。