中国政府がAI生成コンテンツに対し規制を強化した。最近、中国の古典的なテレビシリーズをパロディ化したAI生成コンテンツが増加し、古典作品を歪曲しているとの理由からだ。
中国官営英字メディア「グローバル・タイムズ」および香港「星島日報」によると、中国の放送監督機関である国家広播電視総局は9日、動画プラットフォームに対し、コンテンツの徹底的な審査を行い、AI生成の動画を削除するよう命じた。同局は「これらの動画は知的財産権を侵害するだけでなく、伝統的な文化的価値を損ない、原作の核心的精神と矛盾する」と指摘し、いくつかの具体例を挙げている。
具体的には、宮廷内の権力闘争を描いた中国の有名テレビシリーズ『雍正皇帝の女たち』で登場人物が銃撃戦を繰り広げたり、ドラマ『紅楼夢』の主人公が時代背景にそぐわずボクシングを行うシーン、『西遊記』の三蔵法師が少女のプロポーズを受け入れ結婚を約束するなどの内容が問題視されている。実際、最近の中国SNSではこのような有名なテレビシリーズをAIで脚色したショート動画が人気を集めている。
「グローバル・タイムズ」は、「古典的なテレビシリーズは文化的、歴史的な文脈に深く根ざしており、その物語を変更することで元のテーマや価値、メッセージが歪められる可能性がある。また、このような歪曲された描写に繰り返しさらされることで、オリジナルのコンテンツに関する記憶が塗り替えられるリスクもある」と報じた。