化石燃料に対する産業の規制緩和を公約したドナルド・トランプ米次期大統領の就任まで1か月余りとなる中、ジョー・バイデン政権がアラスカ北極地域の採掘権を民間事業者に売却する方針を固めた。
ブルームバーグ・ニュースなどによると9日(現地時間)、米内務省は来年1月9日に北極野生生物国家保護区(ANWR)のうち1,618.74平方キロメートル(40万エーカー)に相当する土地の採掘権を競売にかけると発表した。
事業者は一定期間の採掘権を取得し、石油抽出に伴う費用を政府に支払う仕組みだ。この措置は2017年の前期トランプ政権下で成立した減税法案に北極保護区の一部開放を盛り込んだ条項が含まれていたことを受けたものである。
7万6,890平方キロメートル(1,900万エーカー)に及ぶ北極保護区は、米国の最大級の石油埋蔵量を誇る地域の一つと知らされており、石油開発を希望する事業者が多いとされる。
しかし、北極グマやトナカイなど多くの野生動物が生息しているため、反対意見も根強い。賛否両論が激しい中、大統領就任を控えたトランプ次期大統領が化石燃料産業に対する大幅な規制緩和に乗り出す方針であることから、開発が加速すると見られる。
ただ、予想以上に進展が難しいとの分析も少なくない。特に注目を集めているのは、売却対象地がこれに関する法律で定められた最小規模にとどまっている点だ。これは採掘反対派の意見を一定程度考慮しつつ、大規模採掘を望むトランプ次期大統領の計画にくさびを打つ戦略だという意見が出ている。
ブルームバーグ・ニュースは「トランプ次期政権により保護区の大規模売却が行われる可能性はあるが、法的問題などにより数年を要する可能性もある」と分析している。