非常戒厳宣言の発令と解除による政治的混乱の中、外国人投資家が割安株の買い付けに動いたことで、韓国株式市場は安定感を取り戻しつつある。
戒厳令直後に1兆ウォン(約1,064億円)超を売却した外国人、今週に入り買い姿勢に転換
韓国取引所の12日発表によると、10日の1日だけで機関投資家は韓国株式市場で5,776億ウォン(約615億円)を純買いした。同日、外国人投資家も1,878億ウォン(約200億円)相当を買い付けた。
機関は非常戒厳宣言後の4日から10日までの5営業日間で合計2兆4,645億ウォン(約2,624億円)を買い集めた。外国人投資家は6日までは売り越しを続けていたが、今週に入って買い姿勢に転じ始めた。
新韓投資証券のノ・ドンギル研究員は「非常戒厳宣言後の初取引日である4日から5営業日間、外国人投資家はコスピ市場で1兆1,000億ウォン(約1,171億円)相当の株式を純売却したが、同期間中に先物を8,000億ウォン(約851億円)の純買いを記録した」と述べ、「外国人投資家は比較的冷静な姿勢を維持している」と分析した。
さらに「外国人投資家が韓国政治の不確実性の拡大や政策の空白にもかかわらず、韓国株式の比重を減らすペースをむしろ抑えている」とし、「韓国株式市場のボラティリティを主導しているのはむしろ個人投資家だ」と指摘した。
証券業界「韓国株式市場の割安感が行き過ぎている」
機関投資家と外国人投資家が韓国株式市場で積極的に買いを入れている背景として、市場の割安感が指摘されている。ノ研究員は「9日時点のコスピの12か月先行PBR(株価純資産倍率)は約0.8倍に低下しており、これは流動性リスクが懸念されていない局面では歴史的な最低水準に近く、この水準が外国人投資家の割安株買いの要因となったとみられる」とコメントした。
4日から5営業日間の機関投資家の純買い上位銘柄は、NAVER、SKハイニックス、ハンファエアロスペース、斗山エナビリティ、現代ロテム、POSCOホールディングスなどだった。
1位と2位の銘柄はサムスン電子とSKハイニックスで、それぞれ4,770億ウォン(約819億円)、2,212億ウォン(約235億円)の純買いとなった。カカオとNAVERはそれぞれ3位と5位で、1,174億ウォン(約125億円)、900億ウォン(約95億円)を買い集めた。
同様に外国人投資家もNAVERを1,376億ウォン(約146億円)を買い越し、SKハイニックスを1,290億ウォン(約137億円)、カカオを300億ウォン(約31億円)を買い集めている。
ノ研究員は、「外国人投資家は通常、相対的に高値で取引されていた優良株を買い付ける好機と捉えている」とし、「需給の鍵を握る外国人投資家の取引パターンを追うことで、株式市場の中長期的な方向性を見極めることができる」と述べた。
11日のコスピ指数は、前日比24.67ポイント(1.02%)高の2,442.51で取引を終えた。同日、2,412.15でスタートした後、一時は下落するも反発し、上昇幅を拡大した。コスダック指数も、前日比14.33ポイント(2.17%)高の675.92で終えた。