バルカン半島北東端に位置する内陸国モルドバは、13日(現地時間)、国家非常事態を宣言した。
同日、モルドバ議会は投票により非常事態を宣言した。
この決定は、エネルギー危機が差し迫り、迅速な対策が求められる状況となったことを背景にしている。
モルドバは、ウクライナ経由のガス管を通じてロシアから天然ガスを供給されている。しかし、ウクライナが今月末に期限を迎えるロシアとのガス供給契約を更新しない方針を示したため、エネルギー供給に深刻な危機が生じた。
これはウクライナ戦争の余波による影響とされ、CNBCによると、モルドバ議会は13日、60日間の国家非常事態を宣言した。
非常事態宣言の背景には、ウクライナのナフトガスが31日に期限を迎えるロシアのガスプロムとのガス輸送契約を更新しない意向を繰り返し表明したことがある。
モルドバは、ウクライナ経由でロシアから供給される天然ガスに依存しており、この契約更新の拒否がエネルギー供給に深刻な影響を及ぼす恐れがある。
モルドバ議会は13日、101名の議員のうち56名の賛成で国家非常事態宣言案を可決した。非常事態宣言を通じてエネルギー不足の脅威に対処し、その影響を軽減するための措置を講じることができると述べた。
議会は、冬季のガス供給停止が人道的危機を引き起こす可能性があると警告し、モルドバのエネルギー部門の機能と安定性が脅かされる可能性について懸念を示した。
首相は、モルドバがエネルギー供給の人質となっている現状を指摘し、今冬がその状況の最後となるべきだと主張した。
欧州連合(EU)も、エネルギー供給の見通しは厳しいと予測している。ウクライナはモルドバだけでなく、EU諸国へのロシア産天然ガス供給の重要なルートでもあるため、ウクライナを通じて供給されるガスが途絶えると、EUへの供給にも影響を及ぼす可能性が高いとされる。
オランダのING銀行は、ウクライナ経由で供給されるロシアの天然ガスが途絶えた場合、EU内で年間150億立方メートルの天然ガス供給が減少すると指摘した。この影響により、ヨーロッパ内でガス価格が急騰する可能性があることを懸念している。