与党の「クーデター防止法」推進、親軍部の反発で撤回
タイ与党による「クーデター防止法」制定の試みが親軍部勢力の反発に遭い、難航している。
15日(現地時間)バンコク・ポストなど現地メディアは、タイ貢献党のプラユット・シリパンナット議員は今月初めに提出した国防省行政法改正案をめぐる論争が続く中、12日に法案撤回を表明した。法案提出以降、親軍部勢力は「法案が可決されれば軍事問題への政治介入が行われる」と強く反発していた。
野党の国民国家の力党(PPRP)だけでなく、タイ団結国家建設党(RTSC)、中道主義党など連立政権参加政党も法案に反対した。タイ貢献党内でも一部議員が問題を提起し、法律でクーデターを防ぐのは困難だとの指摘も出ていた。
論争が拡大する中、タイ貢献党代表のペートンターン・シナワット首相は「法案に対する意見が分かれており、関係者はすべての声に耳を傾けるべきだ」と述べた。プームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼国防相も「軍を掌握する意図はなく、政府は軍と良好な関係を維持している」と付け加えた。結局、プラユット議員は法案撤回を決断した。ただし、プラユット議員は国家の安定のために軍部の権力を制限すべきだとし、法案を修正して再提出する方針を示した。
今回撤回された法案は、軍事力で権力掌握を図る軍幹部の職務を即時停止させる権限を首相に付与する内容を含んでいた。また、軍を動員して行政権を制御する行為を禁止し、将校には上官の違法な命令に従わない権利があると規定。将官の任命は国防相と軍参謀総長らで構成される人事委員会が提案し、内閣が承認する仕組みとしていた。
一方、「クーデター防止法」論争の中で、タイの政界とメディアでは韓国の非常戒厳令宣言も言及された。プラユット議員は「憲法上の責任を超える行動をする軍に対する職務停止権限を首相に与えることはクーデター防止が目的であり、最近韓国国会が大統領の戒厳令解除のために権限を行使したことと類似している」と述べた。
バンコク・ポストは社説で「韓国の事態はタイが戒厳令やクーデターに対応する仕組みを整える必要性を改めて浮き彫りにしている」とし、「クーデター防止法」制定への取り組みを継続すべきだと主張した。