31日、裁判所は「12・3非常戒厳事態」による内乱容疑をかけられている尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する逮捕状を発付した。現職大統領を対象とした逮捕状の発付は、韓国の憲政史上初めてのことである。
ソウル西部地方裁判所のイ・スンヒョン令状担当部長判事は、この日午前に高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が請求した逮捕状と官邸捜索令状をすべて発付した。これにより、公捜処は近くユン大統領の官邸を訪れ、逮捕状を執行する見込みだ。通常、逮捕状は発付日から1週間有効となる。
公捜処は、ユン大統領が3回にわたり内乱首謀と職権乱用権利行使妨害容疑で出頭を求められたが、正当な理由なく応じなかったとして、前日に逮捕状を請求した。
出頭要求は公捜処と警察庁の国家捜査本部、国防部調査本部が共同で構成した共助捜査本部(共助本)を通じて行われた。共助本は、ユン大統領が郵送された出頭要求書を拒否し、電子公文も確認しなかったと明らかにした。弁護人の選任や別途の連絡もなかったという。
ユン大統領側は、逮捕状が請求された直後にソウル西部地裁に弁護人選任届を提出し、逮捕状の不当性を主張する意見書を提出した。彼らは「内乱罪捜査権のない機関による逮捕状請求」であり、法的に却下されるべきだと主張したが、裁判所はこれを受け入れなかった。
公捜処は、今回の事件の主任検事であるチャ・ジョンヒョン捜査4部部長検事を通じてソウル西部地裁に令状を請求した。ユン大統領の漢南洞(ハンナムドン)官邸が同裁判所の管轄に属するためだ。
ユン大統領は今回の決定により、憲政史上逮捕対象となった初の現職大統領という不名誉を背負うことになった。ただし、逮捕状が実際に執行されるかどうかは不透明だ。大統領警護処が官邸への立ち入りを拒否・妨害する可能性があるためだ。公捜処はこれについて「今後の予定はまだ決まっていない」と述べた。
一方、ユン大統領は今月初めに非常戒厳に関して国民向けの談話を通じて謝罪したが、公捜処の出頭要求には応じず、論争がさらに激化した。今回の逮捕状の発付がどのような結果をもたらすのか、国民の関心が集まっている。