29日(現地時間)ロシアのラブロフ外相は、アメリカのトランプ次期大統領が提案したウクライナとの和平案を拒否したと明らかにした。
ロシアの国営通信社「タス通信」によると、ラブロフ外相は「トランプ陣営は現在、両国が交戦中の戦線に沿ってロシアとウクライナが戦闘を直ちに凍結し、対立激化について欧州が責任を持つ案を提案した」と述べたという。
しかし、「我々はトランプ陣営からの提案にはっきり言って満足していない」と述べ、ウクライナに欧州各国から平和維持軍を派遣する案についても拒否する立場を強調した。
11月に「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、トランプ氏の政権移行チームが西側諸国の武器供与継続と停戦監視のための平和維持軍派遣の見返りに、ウクライナが少なくとも20年は北大西洋条約機構(NATO)に加盟しないと約束することを検討していると報じていた。
今月7日、トランプ氏はパリでウクライナのゼレンスキー大統領、フランスのマクロン大統領と会談の時間を持ち、この案を議論したといわれている。
この場でトランプ氏はロシアの攻撃を抑止するためには欧州が主導的な役割を果たすべきだと主張した。
また、三者会談と関連してラブロフ外相は、和平交渉について米国政府からまだ公式な呼びかけはないと線を引き、トランプ氏が就任する来年1月20日まではバイデン政権のウクライナ政策が継続されるだろうと話していた。
ラブロフ外相はウクライナ侵攻開始以降、途絶えている両国間の対話再開と関係正常化に向けては、トランプ氏就任後、アメリカから申し出があればロシアは会談に応じる準備ができていると立場を伝えている。
プーチン大統領もトランプ氏との対話に前向きな姿勢を示しつつも、占領地からの撤退・譲歩の拒否やウクライナのNATO加盟阻止など、ロシアが従来から主張してきた対話条件については強硬な姿勢をとっている。