今年注目すべき10大紛争の1つに「朝鮮半島」が挙げられた。
そのほかにはウクライナやスーダン、ハイチなどが名を連ねた。
1日、紛争解決を目的とした政策提言を行うシンクタンク「国際危機グループ(ICG)」が「2025年注目すべき10大紛争」に関する報告書を発表したが、昨年、一昨年の報告書では言及されることのなかった朝鮮半島が2025年の報告書には掲載されたことが話題になっている。
2024年10月に北朝鮮の金正恩総書記は韓国を「敵対国」と定義する憲法改正を行い、米韓同盟に対抗するように、ウクライナ侵攻への北朝鮮軍派兵などでロシアとの関係強化に努めている。
そして、韓国ではユン・ソンニョル大統領の非常戒厳令の失敗と弾劾案可決による国政の混乱が続いている。
ICGは「様々な変化があった朝鮮半島の2025年は緊張した空気にあふれている」とし、さらに、この状況下でトランプ氏がアメリカ大統領として復帰することが不確実性を高めていると指摘した。
特にトランプ氏がたびたび言及してきた在韓米軍撤退を実行することはないだろうが、韓国に在韓米軍の経費負担の増額を要求する可能性は高く、それによって韓国国内では独自の核武装を主張する声が強まるだろうと分析した。
また、「アメリカの朝鮮半島に関する防衛政策に揺るぎが生じれば、金正恩がより大胆な行動に出るリスクがある」と展望した。
ICGは金正恩自身の立場や命が脅かされる可能性もあるため、核戦争が起こる可能性は低いとしつつも、「誤った判断による挑発可能性」はあると予測した。
そして「ロシアとの関係、ソウルの不安定さ、トランプの食い違うシグナルに刺激され、金正恩が何らかの形で挑発を実行する可能性は十分にある」と警告した。
ICGは、朝鮮半島以外に ▲シリア ▲スーダン ▲ウクライナと欧州(ウクライナ侵攻) ▲イスラエルとパレスチナ ▲イラン対アメリカ・イスラエル ▲ハイチ ▲アメリカとメキシコ ▲ミャンマー ▲アメリカと中国 以上、10件の紛争を報告書でとりあげた。
ICGは「紛争ごとに発生の根本的な原因がそれぞれ異なることを考慮すると、混乱を引き起こす要因を一概に語ることは難しい」としつつも、「中国とロシア、北朝鮮は、数十年間にわたり、アメリカの影響下でアジアや欧州において維持されてきた秩序を打倒しようとしている」と分析した。
さらに「加速する変化の中、世界もパラダイムシフトの準備ができているように見える」とし、「問題はそのシフトが交渉の場で行われるのか、それとも戦場で決着がつくのかということだ」とまとめた。